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河西邦人

Author:河西邦人
札幌学院大学教授。企業経営から地域経営までをカバーする。北海道公益認定等審議会会長、北海道地域雇用戦略会議メンバー、北海道コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス協議会会長、江別市、北広島市、夕張市、石狩市、積丹町、ニセコ町等のまちづくりアドバイザー、各種起業講座や経営講座の講師など公的活動を行っている。北海道NPOバンク理事を通じた社会活動にも従事。著書として、『コミュニティ・ビジネスの豊かな展開』(監修)、『NPOが北海道を変えた。』(分担執筆)、『ソーシャルキャピタルの醸成と地域力の向上』(共著)、『ドラマで学ぶ経営学入門』(単著)がある。

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「どんど晴れ」第18週のあらすじと経営的視点

1あらすじ「遠野への旅」
 大女将が選んだ浅倉夏美を若女将に絶対しない、と言っていた女将の加賀美環も心変わりし、浅倉夏美と失踪した加賀美柾樹の父を会わせようと、夏美へ依頼があった観光雑誌の取材で夏美を遠野へ向かわせた。夏美はイーハトーブの住人仲間で、写真家の水森アキと遠野へ行き、夏美は幻の河童を見つけようとかっぱ淵へ落ちた。
 夏美は老年の男、石川政良に助けられ、彼の家へ連れて行かれた。泊まるところが決まっていなかった夏美とアキは石川の好意に甘え、取材が終わるまで二人は泊めてもらうことにした。石川は恋人?の吉川紀美子に助けてもらいながら、家庭の事情で預けられた小学生以下の子供5人と一緒に生活している。

 一方、魚の仕入の合理化を果たし、厨房でもっとも高給取りの板長をうまく辞めさせ、営業経費を削減した柾樹は、次に旅館組合の不透明な寄付金を独断で拒否した。地域と共存、共生していく加賀美屋のしきたりを重んじる、総支配人の加賀美伸一は、板長の問題に続き、またやっかいなことをしてくれたと柾樹に対して激怒する。柾樹はこれまで大女将も、女将も、伸一もしきたりに手を付けず、経営改革をしてこなかったので、自分が自らやっていると居直る。柾樹の改革の失敗を期待していたはずの女将の環は、柾樹の考えに一定の理解を示す。
 女将の環は柾樹の父である義兄石川政良を探していたところ、夏美が泊まっていた家の主が柾樹の父である偶然に驚いた。そこで、柾樹に対して遠野まで夏美を迎えに行かせた。そして、夏美を迎えに来た柾樹から自己紹介された石川は実の息子であることに気が付いた。そして、勘の良い柾樹と夏美もすぐに、石川が22年前に柾樹と母を捨てて失踪した実の父親であることに気づいた。
 石川は柾樹に謝罪するが、母親が死んだのも石川のせいだ、と柾樹は父を許そうとしなかった。石川が描いた柾樹の絵を夏美から見せられ、説得された柾樹は22年間の父と加賀美屋に対する愛憎から解放され、父を許した。

2 経営的視点「経営改革」
 加賀美屋は老舗旅館として、歴史の中で培ってきた財産と負債を抱えています。負債は借金だけでなく、「しきたり」といった古くからの慣習という負債もありますし、しきたりに対して一方的に従う加賀美屋一族の意識も負債かもしれません。柾樹の経営改革は軋轢を生み、その軋轢が加賀美屋の看板を傷つけることになったとしても、そうしたしきたりを変えていこうとしています。しきたりも生まれた当時は合理的な仕事の仕方や経営方法だったかもしれませんが、時代が変わり、ホテルから加賀美屋へやって来た柾樹にとってはデメリットも感じられたのでしょう。

 こうした経営改革の基盤になる理論の一つに、社会心理学者のK. レヴィンが提示した理論、解凍→変革→再凍結のプロセスがあります。この理論によれば、経営改革の第一段階の「解凍」は経営に携わっている経営陣、社員の意識を変えることになります。意識を変えるきっかけは、外圧と内圧によってもたらされます。外圧は外からの評価や取引の打ち切りといった組織存続にとって大きな影響を及ぼす外部環境変化です。内圧は柾樹のように改革者の登場や危機的な赤字など組織存続にとって大きな影響を及ぼす内部環境の変化です。
 第二段階は意識を変えた経営陣や社員が従来からの経営理念、文化、制度、慣習を変えていく「変革」の段階です。「変革」の段階では、改革の後のビジョンを混乱する社員たちに示し、それに向かってどうしていくか、改革の戦略を改革のリーダー(このドラマでは柾樹でしょうか?)が提示しなくてはなりません。そして、その戦略にしたがって、改革していくよう、動機づけをしていきます。
 第三段階は変革を行なった結果を再び、人と組織へ定着させていく「再凍結」の段階です。この段階では改革によって一時的に混乱したり、非効率になった状況を、新しい経営理念、制度、システムによって収束させます。「再凍結」の段階がないと、改革の混乱で組織が崩壊する懸念もあります。

 経営改革の理論からすれば、柾樹の強引なやり方は理解できるところもありますが、もっと慎重に事を進める必要があります。板長と事を構えた時、最悪の場合、板長がいなくても加賀美屋にふさわしい料理を出せる目算を持っておくべきです。旅館組合と軋轢ができ、地域との関係が悪くなったら、どうそれを取りなし、改革を進めていくか、改革の戦略を持っておくべきです。
 また、大女将が決めた旅館の後継者で、女将から改革の権限を委譲されている柾樹とはいえ、一介の管理職に過ぎません。経営的リスクが高い改革に関して代表取締役等へ事前の報告なしで、勝手に事を進めるのは経営統治上の問題があります。改革に必要な支援を受けられなくなる懸念もあります。
 まずは加賀美一家に対して自分の改革の戦略とビジョンを伝え、協力を願う。そうした根回しをしても100%の理解は得られないし、半分も理解を得られれば御の字でしょう。それでも根回しを加賀美屋の経営陣にしておくことは、その後の改革を一気に進める時に、無用な軋轢を生まない、大切な手順ですし、家族経営の加賀美屋がバラバラにならないためには必要な事です。
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テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

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