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河西邦人

Author:河西邦人
札幌学院大学教授。企業経営から地域経営までをカバーする。北海道公益認定等審議会会長、北海道地域雇用戦略会議メンバー、北海道コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス協議会会長、江別市、北広島市、夕張市、石狩市、積丹町、ニセコ町等のまちづくりアドバイザー、各種起業講座や経営講座の講師など公的活動を行っている。北海道NPOバンク理事を通じた社会活動にも従事。著書として、『コミュニティ・ビジネスの豊かな展開』(監修)、『NPOが北海道を変えた。』(分担執筆)、『ソーシャルキャピタルの醸成と地域力の向上』(共著)、『ドラマで学ぶ経営学入門』(単著)がある。

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加賀美屋のブランド戦略

1 加賀美屋の良さを伝えるために
 旅行代理店に置いておく加賀美屋宣伝パンフレットの見本が加賀美伸一の元へ印刷会社から届きました。その時、支配人の伸一と部下の加賀美柾樹は以下のような会話をしていました。

加賀美伸一「うちのような旅館が生き残っていくためには、ブランド価値を高めるイメージ戦略ってのも大事なんだ。」

加賀美柾樹「だったらあえて装飾を控えるというのも手でしょうね。加賀美屋の魅力は外見よりも、長い間培われてきた伝統にある。それを売りにするんです。特別なものがあるわけではない。しかし目に見えない特別な何かを感じられる。それを伝えるために装飾を省く。その方が伝わるものがあると思います。」

2 ブランドとは?
 ブランドの起源は、自分の牧場の牛と他の牧場の牛とを区別するための焼き印だと言われています。 現代では、ブランドは他社、他社の製品・サービスと識別できる名称、デザイン、シンボルマークなどの総体を意味しています。
 競合他社に比較して消費者によく知られ、良いイメージのあるブランドの会社、製品・サービスは相対的に良く売れたり、高い価格で売れる可能性が高くなります。したがって、企業経営において、ブランド構築が高い優先順位にあります。
 ブランドはPR、広告、製品・サービスの評判や口コミ、消費者自身の利用した感想、などから創られます。ブランド構築にあたって、経営者は会社、製品・サービスが将来こうなって欲しいというビジョンと、実態を考え、ブランドを考えないといけません。将来、高級旅館になりたいというビジョン。そして、加賀美屋が提供する、部屋、施設、調度品、料理、サービス、雰囲気という実態。これら2つの視点からブランドの基本コンセプトが生まれます。
 高級旅館の定義は難しいですが、宿泊単価一人当たり2万円以上、部屋には風呂とトイレが備わり、部屋付きの仲居が宿泊客を接遇し、料理は部屋で食べられる。私は高級旅館というとそんなイメージを持っています。

3 伸一と柾樹の相違
 伸一は長年父であり社長である加賀美久則の片腕として、加賀美屋を支えてきました。その知見から高級旅館としてのブランド構築が可能と考えて、豪華なパンフレットを制作しようとしているのでしょう。
 一方、横浜のシティホテルで勤務していた柾樹は、加賀美屋の部屋、施設、調度品、料理といった目に見えるものからは何かを感じられず、伝統とか雰囲気を評価したのでしょうか。加賀美屋のパンフレットはシンプルな方が良いと提案しています。

 柾樹の提案はパンフレットの表現方法の改善提案をしていますが、その言葉から伸一とは異なるビジョンやブランドイメージを持っているように思えます。パンフレットのようにマーケティングの販売促進のツールの改善提案をするためには加賀美屋が置かれている環境や実態を踏まえて立案された、加賀美屋のビジョン、ブランドのコンセプト、競争戦略が不可欠です。あなたが柾樹の立場であれば、結論に至った背景も説明すべきです。そうしないと提案に説得力を感じられませ。
 一方、伸一の言葉は短いものの、なぜあのようなパンフレットを制作したのか、彼の加賀美屋のビジョンやブランド戦略が理解できました。パンフレット自体は表紙と最初の方しか見ていないので、評価は難しいですが。しかし、伸一は加賀美屋をリゾートホテルにする構想を持っているので、この時期に高級旅館のブランドイメージを定着させる戦略を実施しても、費用の無駄ではないでしょうか?むしろリゾートホテルへ業態転換したときに、0からブランド構築した方が効果的ですし、合理的です。

 細かいことですが、柾樹が上司である伸一にとった態度はいただけません。伸一が自慢げにパンフレットを柾樹に見せているのに、柾樹はさらっと見ただけで、「だったらあえて装飾を控えるというのも手でしょうね。」と伸一の考えたパンフレットを言下に否定し、異なるパンフレットのコンセプトの提案をしています。こうした言い方は親戚とはいえ、上司へ異なる提案をするときの配慮に欠けています。
 まずはパンフレットを褒める。その上で、無駄な装飾を省いてはどうかと提案する。そうすれば伸一が考えているブランドイメージ向上につながる。そんな論理で伸一を説得すべきでしょう。
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テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

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