1 「天国から地獄へ」
モデルをしていた笹野倫子はリゾートホテルを7つも経営している高邑隆一郎に見初められ、玉の輿に乗る。しかし、結婚してさほど経たない内に高邑が急逝する。しかも、300億円の負債を被っていたため、リゾートホテルは負債返済のために売却。彼女に遺産として残されたのは、修善寺の古びた旅館「花壱」と高邑の前妻との娘、志保だけだった。しかも花壱は借金と働かない従業員を抱えていた。
倫子は田舎の寂れた旅館の経営には興味がなく、スパリゾート開発をしようとしている黒沼旅館へ売却しようとした。働くことが大嫌いで、もてなされるのが好きとい倫子だから、当然の決断だ。義理の娘の志保は怒るが、倫子は動じない。
身辺整理をする倫子は、高邑と初めて出会ったテレビ番組のインタビューを見た。高邑にとって花壱は子供の頃の想い出が詰まった大切な場所で、その大切な場所に倫子が必要とされていることを知った。そして、高邑が生前に出した最後のメールを読み、高邑にとって自分がどういう存在であるか倫子は知った。
高邑の花壱に対する想い、倫子と志保と桜の木の下で誕生日を祝いたい高邑の夢を知った倫子の心に何かが芽生えた。高邑の親が植えた大切な桜の木を切られようとしたその時、倫子は花壱に戻り、女将として旅館を経営することを宣言する。
2 経営的視点「素人娘に女将は可能か?」
旅館の女将は旅館の経営とサービスに関する責任者です。はっきり言って、旅館やホテルでの経営やサービスの経験がなければ務まりません。楽天的で怖いもの知らずの倫子は、どうしたら、女将としての能力を身につけられるでしょうか。
まず、倫子は顧客の視点でもてなしてもらうということを熟知しています。その顧客の視点でサービスを見直し、花壱でできることを考えてみてはどうでしょうか。それでも旅館の業務を熟知したサービスの指南役が必要です。
経営に関しては資金の管理、営業、従業員に対するリーダーシップなどを学ばなくてはなりません。それを身につけるのは時間がかかります。そこで、誰か優秀な参謀が必要でしょう。
そう、倫子には女将の片腕になってくれる人材が必要です。潰れかかっている花壱にそんな優秀な従業員もいないし、雇う余裕もない。でも、そこはドラマです。倫子に都合良く展開していきます。このドラマの舞台になった老舗旅館「落合楼」も経営破綻するほど、旅館経営は大変です。花壱はどうなっていくでしょうか?
3 「どんど晴れ」と「私を旅館に連れてって」の違い
主人公は旅館の経験を持たず、女将に挑戦していく共通のストーリー展開があります。大きな違いは花壱は加賀美屋と異なり、潰れかかったひどい旅館です。それに対して、加賀美屋は経営的に厳しいもののまともな老舗旅館です。倫子は経営権を持っているのに対して、どんど晴れの浅倉夏美は一介の使用人です。したがってヒロインの置かれている立場が全く異なります。
「私を旅館に連れてって」は最低のところから旅館を再建していくストーリー故に、話の辻褄が合わなくても、倫子の自己中心的なキャラクターも気にならないのかもしれません。また、主人公に頑張れと素直に応援できるのでしょう。
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テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス
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