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河西邦人

Author:河西邦人
札幌学院大学教授。企業経営から地域経営までをカバーする。北海道公益認定等審議会会長、北海道地域雇用戦略会議メンバー、北海道コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス協議会会長、江別市、北広島市、夕張市、石狩市、積丹町、ニセコ町等のまちづくりアドバイザー、各種起業講座や経営講座の講師など公的活動を行っている。北海道NPOバンク理事を通じた社会活動にも従事。著書として、『コミュニティ・ビジネスの豊かな展開』(監修)、『NPOが北海道を変えた。』(分担執筆)、『ソーシャルキャピタルの醸成と地域力の向上』(共著)、『ドラマで学ぶ経営学入門』(単著)がある。

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「私を旅館に連れてって」第2話のあらすじと経営的視点

1 「っていうか大失敗」
 旅館の女将になることを決心した笹野倫子だが、従業員は篠田太一、園部初恵、千葉由幸、殿山元しかいない。そこへ黒沼の陰謀で使えなさそうな加賀屋学と、1泊5,000円で40名の団体まで押しつけられる。そして倫子の友人である衛藤なぎさが借金取りに追われて逃げてくる。
 花壱に宿泊している客、勅使河原史子はかつて外資系ホテルの副総支配人として活躍した人物と知り、倫子はどうしたら良いか、アドバイスを求める。勅使河原はこの旅館をあえて選ぶ理由が見つからない、と言われ、倫子は悩む。
 1泊5,000円ゆえに食事の原価を800円に抑えるよう、倫子は篠田に伝えるが、そんな料理を作るくらいなら、この旅館を辞めると言われる。40名の団体客がやってきて、従業員はその対応に追われる。義理の娘、志保に言われ、篠田が一流の懐石料理職人と知る。倫子は食事を花壱の目玉にしようと考え、篠田が満足できるよう1,500円の原価をかけて料理を作ってもらう。

 ところが、千葉がなぎさへセクハラをする客と喧嘩し、客は怒って翌日の宿泊をキャンセルしてしまう。客もせっかくの料理を残してしまう。お客が来れば来るほど、損してしまう状況に、従業員もあきれ顔だ。倫子は素直に謝るが、その時、団体客の一人から家族旅行での宿泊予約が入る。一筋の希望が見えた倫子へ勅使河原は「私もゲームに加わるは」と言う。
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テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

「私を旅館に連れてって」第1話のあらすじと経営的視点

1 「天国から地獄へ」
 モデルをしていた笹野倫子はリゾートホテルを7つも経営している高邑隆一郎に見初められ、玉の輿に乗る。しかし、結婚してさほど経たない内に高邑が急逝する。しかも、300億円の負債を被っていたため、リゾートホテルは負債返済のために売却。彼女に遺産として残されたのは、修善寺の古びた旅館「花壱」と高邑の前妻との娘、志保だけだった。しかも花壱は借金と働かない従業員を抱えていた。
 倫子は田舎の寂れた旅館の経営には興味がなく、スパリゾート開発をしようとしている黒沼旅館へ売却しようとした。働くことが大嫌いで、もてなされるのが好きとい倫子だから、当然の決断だ。義理の娘の志保は怒るが、倫子は動じない。

 身辺整理をする倫子は、高邑と初めて出会ったテレビ番組のインタビューを見た。高邑にとって花壱は子供の頃の想い出が詰まった大切な場所で、その大切な場所に倫子が必要とされていることを知った。そして、高邑が生前に出した最後のメールを読み、高邑にとって自分がどういう存在であるか倫子は知った。
 高邑の花壱に対する想い、倫子と志保と桜の木の下で誕生日を祝いたい高邑の夢を知った倫子の心に何かが芽生えた。高邑の親が植えた大切な桜の木を切られようとしたその時、倫子は花壱に戻り、女将として旅館を経営することを宣言する。

2 経営的視点「素人娘に女将は可能か?」
 旅館の女将は旅館の経営とサービスに関する責任者です。はっきり言って、旅館やホテルでの経営やサービスの経験がなければ務まりません。楽天的で怖いもの知らずの倫子は、どうしたら、女将としての能力を身につけられるでしょうか。
 まず、倫子は顧客の視点でもてなしてもらうということを熟知しています。その顧客の視点でサービスを見直し、花壱でできることを考えてみてはどうでしょうか。それでも旅館の業務を熟知したサービスの指南役が必要です。
 経営に関しては資金の管理、営業、従業員に対するリーダーシップなどを学ばなくてはなりません。それを身につけるのは時間がかかります。そこで、誰か優秀な参謀が必要でしょう。
 そう、倫子には女将の片腕になってくれる人材が必要です。潰れかかっている花壱にそんな優秀な従業員もいないし、雇う余裕もない。でも、そこはドラマです。倫子に都合良く展開していきます。このドラマの舞台になった老舗旅館「落合楼」も経営破綻するほど、旅館経営は大変です。花壱はどうなっていくでしょうか?

3 「どんど晴れ」と「私を旅館に連れてって」の違い
 主人公は旅館の経験を持たず、女将に挑戦していく共通のストーリー展開があります。大きな違いは花壱は加賀美屋と異なり、潰れかかったひどい旅館です。それに対して、加賀美屋は経営的に厳しいもののまともな老舗旅館です。倫子は経営権を持っているのに対して、どんど晴れの浅倉夏美は一介の使用人です。したがってヒロインの置かれている立場が全く異なります。
 「私を旅館に連れてって」は最低のところから旅館を再建していくストーリー故に、話の辻褄が合わなくても、倫子の自己中心的なキャラクターも気にならないのかもしれません。また、主人公に頑張れと素直に応援できるのでしょう。

テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

夏美の仕事の創意工夫

1 食器類の整理整頓
 浅倉夏美は時江に命ぜられ、蔵の中の食器類を整理することになった。夏美がやるべき仕事が多く、休み時間中にやれ、と労働基準法に抵触するような時江の指示にも、前向きに取り組む夏美であった。
 木箱に入ったお皿や小鉢をデジカメ(カシオ?)で撮影しながら、付箋紙で箱の中身を記載し、木箱に貼り付ける。しかし、知識不足は否めず、板長に頼まれた織部の器を持って行くが、間違った器だったので、「よくそんなんで女将修行をしてるよな」と呆れられる。その言葉に奮起し、仕事後も蔵の中で器の把握に努めた。

2 仕事の創意工夫
 脚本のせいか、夏美の行動に対して苦言を呈することが多くなってしまいましたが、今回は誉めましょう。会社や団体に入れば、いろいろな仕事を上司に与えられます。その時に、上司に言われたままに仕事をするか、それとも自分なりに考え、仕事をするかで、その人の能力開発に対して、大きな差異を産みます。自分なりに与えられた仕事の本質を考え、より良い方法で仕事をする、仕事の創意工夫は仕事の能率の改善や付加価値の向上につながり、あなたへの評価を高めます。
 ただし、上司の命令から逸脱しない、あなたに裁量が認められる範囲での創意工夫です。宿泊客の子供を時江の命令に背いてまで、連れ出すことは仕事の行き過ぎた創意工夫で、評価されません。

 蔵の中の状況は、蔵の中の所蔵物を良く知った人でないと分からない状況でした。そうすると、限られた人、女将や仲居頭しか蔵の中から効率よく、器を取ってくることができません。他の従業員が器を取ろうとしても、探し回る羽目になります。旅館全体にとって、労働生産性の低下につながります。時江に命じられた蔵の中の器を整理整頓することは、そうした課題を解決することも同時にやろうと発想できる夏美は、仕事の本質を理解していると言えます。
 デジカメで器の写真を撮り、木箱の中身を記載した付箋紙をつける。そうした整理整頓の仕方は、老舗旅館では行われてきた夏美流の創意工夫で評価できます。

 ただし、もうちょっと工夫すればいいのにな、と思ったことを書いておきます。せっかくデジカメで写真を撮ったのだから、写真を木箱に貼り付け、何枚の器が木箱に入っているかなどの情報を書き込んでおけば良かったと思います。また、付箋紙はのりが弱いので、いつの間にかはがれる懸念があります。写真はテープで貼っておくのが良いでしょう。そして、器の種類、用途、使う季節などで器を分類し、その分類によって蔵の中をいくつかの区画に区切り、そこへ器の木箱を置くようにする。その区分の情報を蔵の中に示しておけば、知識が少ない従業員でも目的の器を素早く、取ってくることが可能になります。

 日々の仕事の中で創意工夫をし、それが周囲から評価されれば、働きがいも感じられるでしょう。仕事の創意工夫は面倒なことではなく、会社にとっても仕事の能率や付加価値が向上すると共に、あなたの働く意欲につながり、メリットがあることなのです。

テーマ : サービス - ジャンル : ビジネス

「私を旅館に連れてって」第6話のあらすじと経営的視点

1 「料理が出せない」
 板長の篠田が原価の多少高い金目鯛を使いたいといい、女将の高邑倫子はそれを認めるがコスト削減を図らなくてはならず、クリーニング代や酒代を交渉して値引いてもらう。そんな花壱へ篠田の後輩の三浦が花壱を訪ねて来る。三浦はある経営者が乃木坂に出店する新しい料亭「奈可田」の花板として、篠田を迎えたいと伝える。渋る篠田を三浦は仮オープンの1週間だけでもいいから花板をやって欲しいといい、篠田も了承する。
 篠田は休暇ということで1週間の休みを取るが、スナックの絵美から篠田が引き抜かれることを倫子は聞いてしまう。そんな時に限って、食事を楽しみにする客が花壱へ来る。倫子も手伝い、板前見習いの里子も頑張るが、客の評判は悪い。倫子、勅使河原、なぎさは篠田の様子を見に、奈可田へ向かうが、そこで生き生きと働く篠田を目にして、3人は何も言えなかった。
 そんな時に限って女子大のグルメ同好会から10名の予約が入る。倫子は受けるが、自信のない里子はキャンセルして欲しいと言う。自信を喪失している里子へ、倫子は「自分が料理する」といい、倫子の勢いに押された里子は徹夜で料理の仕込みを行う。しかし、夕食の準備はうまくいかない。その状況で篠田が戻ってきて、美味しい料理を出すことに成功する。

2 経営的視点「理想の職場」
 旅館で働く従業員たちは、それぞれ花壱という職場に対する理想は違います。里子はこの花壱で修行し、立派な和食職人になりたいと考えていますから、自分が成長できる職場が理想でしょう。倫子はそれを知ってか知らずか、料理人として自立の道を歩み出せない里子へ、強制的にその機会を与えました。
 一方、篠田にとっては奈可田のように良い食材と立派な厨房がある高級料亭を理想としている訳ではないようです。彼の腕前を必要とするところが理想の職場と考え、花壱へ戻ってきました。
 従業員それぞれの理想の職場は違うので、理想の職場を作り、良い人材を確保しようとする経営者の女将は大変です。自分の持っている理想の仕事や職場をかなえる努力してくれる経営者や組織に対して、従業員は貢献意欲を持ちます。倫子の動機づけが結果として、篠田のような一流板前をも惹きつけたということです。

テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

「私を旅館に連れてって」第5話のあらすじと経営的視点

1 「もっとも恐ろしい客」
 客が増えない花壱は、お金をかけないで宣伝しようと従業員が知恵を出し、ちらしを作る。女将の高邑倫子は勅使河原史子から雑誌の記事として取り上げてもらう、パブリシティを聞く。
 倫子は雑誌「ボン・ボヤージュ」に取り上げてもらい、宣伝しようと考え、東京へ飛ぶ。たまたま、ボン・ボヤージュの編集長が修善寺の温泉旅館を取り上げる企画を持っていたので、取り上げてもらうことになった。ところが、この雑誌は覆面調査員がツアーや旅館を厳しくチェックし、雑誌での低評価が旅館の経営を左右する。

 そこで、調査員の不意の来訪に備えて準備し、従業員たちは最高のサービスを提供しようと考える。いつもは客の少ない旅館だが、その日は従業員が考えた広告が功をそうし、4組の客がやってきてしまった。そのため、誰がボンボヤージュの調査員か分からず、誰に最高のサービスをするかで従業員はそれぞれの思惑で行動し、旅館は混乱する。ボン・ボヤージュのノベルティを持っていたカメラを持った若い男性が、覆面調査員という事が判明する。
 加えて、断水になり混乱に拍車をかけるが、倫子は普通の宿泊客の老婦人から井戸の場所を教えてもらう。そして、従業員が一致団結で井戸水を汲み上げ何とか乗り切る。倫子は老夫婦が花壱を選んだ理由を聞き、その愛情の深さに打たれた倫子は老夫婦のために、野点をすることにした。
 野点の席の場で、若いカメラマンは無礼な態度で取材をしようとする。老夫婦の想い出のために、倫子も従業員もボン・ボヤージュの評価が悪くなることを覚悟して、カメラマンを追い出す。そして、老夫婦のために素敵な時間を演出する。

注 話はまだ続きますが、ネタバレになるので書きません。結末はどうなるか、是非、このドラマをごらんになってください。本当に良くできた脚本と演出です。

2 経営的視点「サービスの理念」
 従業員が良いサービスを顧客へ安定的に提供していくためには、旅館としてのサービスの理念が重要です。サービスの理念は花壱で確立されておらず、また確立されていないから従業員で共有され手いませんでした。女将の倫子のリーダーシップの弱く、従業員はサービスで顧客を満足させることすら考えていませんでした。
 ところが老夫婦の一件で「顧客を選んでサービスをしない」、「顧客に最良の時間を過ごしてもらう」という理念を確立しました。そして、「女将として立派だったわよ」と指南役の勅使河原が女将の倫子の取った行動、老夫婦の想い出のためにカメラマンを追い出したこと、を誉めた事で、倫子の女将としてのリーダーシップも確立しました。
 女将を始めとした旅館の全員が力を合わせて、最良のサービスを提供していきます。だからこそ、人間の行動基準になるサービスの理念や価値観が必要です。そして、理念を共有し、行動できるスキルが必要になります。顧客満足をもたらすサービスの理念を共有し、実直に実現していけば、それを評価する客が増え、花壱の再建につながっていきます。

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「私を旅館に連れてって」第4話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 花壱の女将の高邑倫子は指南役の勅使河原史子から、旅館のビジョンを考えるようにと言われる。倫子は旅館組合の会合で知り合った春翠桜の女将小暮妙子から、春翠桜は1泊10万円という高級旅館なのに半年先まで予約がいっぱいという話を聞き、春翠桜のような旅館を目指そうと考えた。
 倫子は自分のビジョンを実現するために、従業員は洋服を、内装は洋風、料理は洋食へと、花壱を大改革し始めた。そんな時、青空観光の大久保が紹介してくれた客が花壱改め、清翠桜にやって来る。しかし、洋風化した清翠桜(花壱)に怒り、帰ってしまう。
 倫子はもう一度、死んだ夫である高邑と従業員の花壱に対する想いを思い返した。そして、倫子は一人で再び元の花壱へ戻そうと決意する。

2 経営的視点「資源ベースの経営戦略」
 憧れの人を真似ようとするのは人間誰しにもあります。企業も同じ業界や他業界の優良企業の経営を手本にするということも良くあります。それはそれとして、倫子はコンセプトからサービスまで春翠桜を真似しようとします。
 第一の問題点は、真似しても同じ旅館は創れないということ。その旅館が歩んできた歴史とそこから生じる伝統や雰囲気。経路依存という言い方をしますが、歴史が異なれば、同じ旅館にはなりません。また、春翠桜と花壱では所有している経営資源、人材、建物、温泉、資金量、ブランド力とイメージ、全く違いますから、同じ旅館にはなりません。それを無理して同じような旅館にしようとすれば、無理な経営を強いることになります。それは花壱のちょっぴり生まれてきた魅力を殺ぐことになります。
 第二の問題点は、表面的な事を真似ても、持続的競争優位を持ち得ないこと。なぜ春翠桜はあのような旅館になったのか、本質を考えなければ、花壱の競争力につながりません。
 第三の問題点は、戦略は基本的に差異化を図ることです。真似ても同じ旅館はできないし、うまくいっても所詮まがい物。本家に勝るためには、プラスアルファが必要です。
 そう考えると、花壱は花壱。春翠桜とは違った旅館で、夫高邑の理想としていた旅館を目指せば良いのです。春翠桜の女将の言葉、「あの娘はきっと立派な女将になる。それどころか強力なライバルになる。」は、春翠桜と違った旅館を目指すことが成功の道ということを示しています。

3 雑感
 昨日からフジテレビ721で「私は旅館に連れてって」を放送中。今日はライブで見ています。
 朝、見た「どんど晴れ」と同じ旅館を舞台にした物語ですが、こちらのドラマはコメディベースでなの辻褄が合わないところがあっても、突っ込む気にはなりません。また、主人公の倫子も愛すべきキャラなので、彼女の身勝手な行動も腹が立ちません。
 笑いながら、楽しめます。そして見終わった後に、何か心に残る何がある。全12話の全てが良い出来とは思いませんが、しかし、何度でも見たくなる良いドラマです。

なお、このドラマを経営的視点で学習する詳細なコンテンツを以下のオリジナルHPへアップしています。
最近、更新を怠っていますが。
http://www.kawanisi.jp

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「どんど晴れ」第12週のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 組合費5万円が帳場からなくなり、浅倉夏美が綾華へ「誰か見ませんでしたか?」と尋ねたことが、綾華の陰謀で夏美が綾華を疑っていることになってしまい、ますます夏美はいじめられる。綾華の恋人気取りの加賀美浩司は、綾華が組合費を盗んだことを知ってしまう。浩司は綾華を問いつめると、母親の入院費を工面するため、と打ち明けられ、浩司は綾華の窃盗という犯罪行為をかばい立てすることにした。浩司は綾華のために綾華が盗んだ組合費のお金を立て替え、綾華の正規雇用を願い出るというお人好しぶりを発揮する。

 夏美に対する仲居や板場の料理人の風当たりは強く、冬物の器出しを女将(?)から命ぜられ、一人で蔵から出す羽目になった。大女将は夏美へ、上に立つものとして、部下に対する言動に細心の注意を払うことと、辛いときに一人でがんばるのではなく誰かに助けて欲しいと素直に言えば誰か助けてくれると、助言する。
 夏美は大女将の助言を受けて、仲居や料理人に謝罪するが、許そうとしない。佳奈が夏美の擁護をし、事実を知っている浩司、盗難の犯人である綾華も夏美を擁護し、その場は収まる。これを機会に佳奈と夏美は仲直りする。また、夏美は時江へ器出しの仕事を手伝って欲しいと願い出る。時江がそれを受け入れ、仲居たちも時江が夏美の仕事を手伝ってるのを見て、協力する。

 仲居になりたいという綾華に対して、女将の加賀美環は綾華が加賀美屋へ入り込み、何をしようとしているのか、綾華の真意を探ろうとする。浩司以外に事実を知らないことをいいことに、金を盗んだにも関わらず綾華は浩司との結婚を前提に女将修行をさせて欲しい、と女将へ願い出る。

2 職場のいじめ
 複数の人間が集まれば、人間関係が形成され、そこにいじめという行為が生じることもあります。一緒にいる時間が長く、利害が絡む職場はいじめを生じさせやすい土壌を持ちます。職場のいじめが生まれる原因はパーソナリティから生じる好き嫌いといった感情型いじめ、期待に沿った仕事をできなかったり、命令・指示に従わない部下を上司がいじめるパワーハラスメント、派閥争いなどから生じる社内政治によるポリティックス・ハラスメント、厳しい職場環境から生じるストレスの発散型いじめ、男女間の意識から生じるセクシャルハラスメントがあります。職場の外に出れば、取引先での出入り業者いじめがあります。いじめには原因があり、その原因を知った上で対応を取る必要があります。

 夏美はなぜ、職場でいじめられているのでしょうか。直接的なきっかけは綾華を疑ったことです。大女将は上に立とうという者として、綾華への言動は軽率だった、と夏美へ説明していますが、それは夏美いじめの本質ではないと考えます。夏美がいじめられる原因は、夏美の自己中心的な行動から生じた加賀美屋を揺るがす重大な事件を起こしたにもかかわらず、明確な謝罪と処分がないまま、女将修行(夏美は「修行」としか言っていないが周囲は女将修行と思っているようだ)という特別待遇を受けていることにあります。
 夏美は加賀美柾樹の婚約者の時は、女将候補の一人として女将修行をする権利を持っていますので、仲居は夏美の待遇に対して羨ましい、と思っていても諦められます。また、夏美が命令を無視して、自己流のおもてなしをして周囲をういらいらさせても、あの人は女将候補だからと諦められます。
 しかし、柾樹との結婚が白紙になった以上、同族経営を継承してきた加賀美屋のしきたりでは女将候補ではなくなります。それにも関わらず、大女将の贔屓で相変わらず加賀美屋の女将候補として働いていれば、夏美より勤務経験が長く、夏美より野心と能力を持っている仲居はどう思うでしょうか。しかも、加賀美屋の存亡に関わる不祥事を起こしたにも関わらず、夏美は当初、加賀美屋のイメージ失墜、時江の解雇、などに謝罪もせず、女将修行をもう一度させてくれ、という自己目的だけで戻ってきました。そんな夏美を見て、他の従業員はどう思ったでしょうか。

 いじめはいじめる人間が当然悪いですが、いじめられる原因がいじめられる人間にある場合、それを解決しなければなりません。夏美はこれまでの行動を反省していること、女将修行ではなく仲居修行をすること、先輩仲居の命令・指示を守って行動することを他の仲居たちへ伝えた方が良いでしょう。それが夏美にできる、いじめ対策です。
 その一方で、職場でいじめが続けば、従業員のモラル低下や、夏美担当の部屋への食事を一番遅く出すなどの顧客サービス低下といった経営上の問題になりますので、元大女将や女将も夏美いじめを防ぐ責任があります。もし、女将修行をするのであれば、夏美を高く買っている大女将が夏美を女将修行させる、理由を説明すべきです。また、女将は職場の従業員同士の融和を図るよう、積極的に従業員同士の人間関係の潤滑油になります。そして、それでもいじめをする従業員に対して処分をする、強い姿勢を示すべきです。女将の環は夏美を追い出したいと思い、そんな女将の気持ちが従業員に伝わって、夏美いじめにつながっているようなので、女将には期待できないかもしれませんが。

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事業所内の盗難疑惑に対する管理者の対応

1 事例:旅館内でお金がなくなる
 浅倉夏美が帳簿に集金の記帳していたときに、その場を一時的に離れたため、集金した旅館組合のお金がなくなりました。記帳の仕事を依頼した加賀美伸一と女将に夏美は報告しますが、その後、綾華の陰謀により、夏美が仲居たちに綾華を疑ったと誤解され、加賀美家とは関係のなくなった夏美が特別扱いで女将修行している理不尽さへの仲居たちの不満もあって、虐められます。その結果、お金がなくなった事実より、夏美が綾華を疑ったことが重視されてしまいました。
 その後、綾華から綾華が盗んだことを打ち明けられた次男の加賀美浩司が、なくなった分のお金を女将たちへ代わりに支払うと申し出ました。それに対して伸一は「お前が払わなくていいんだぞ」と率直な感想を述べています。社長の加賀美久則は「綾華ちゃんが疑われたことが嫌だったんだな」と述べています。そして、女将の加賀美環はそのお金を受け取りました。

 架空の出来事だからといえばそれまでですが、女将の取った一連の対応には疑問が残ります。まず、お金がなくなったことへの対応がなされていないこと。旅館内で金が紛失したことを、警察へ届けてしまえば、旅館の信用を傷つけます。だからといって、それを放置しておいてはいけません。旅館で働いている従業員たちが不安を持ちますから、女将が責任を持って、その真相を調べるべきです。また、金をおいたまま不用意にその場を離れた夏美に対して、しっかり注意をすべきでしょう。
 また、この件で夏美が非難され、虐められていることを女将が察知せず、夏美の立場が悪くなっていくことに対応していない問題があります。夏美虐めのために、顧客へのサービスが疎かになったり、雰囲気を悪くしたりすることを女将は防がなければなりません。
 第三に、次男の浩司がなくなったお金を代弁するという不自然な行動の理由を女将は浩司に尋ねるべきです。綾華が犯人と分かってのことであれば、ことを荒げず、女将から厳しく綾華を諭すというのであれば、この行動は納得がいきます。しかし、そうでなければ、その理由を曖昧にしておくのは、金がなくなった事実を曖昧にしておくことになり、女将としていただけないです。

2 事業所内の盗難疑惑へどう対応すべきか
 それでは女将はどのような行動を取るべきでしょうか。まず、小さな組織なので、女将が内密に探れば、噂になり、結果として夏美が犯人なのでは、という変な噂まで飛びかねません。そこで、女将は全従業員に対して、お金が帳場からなくなったという事実を伝えます。その上で、心当たりがないか、と尋ねます。
 女将は従業員に信頼されていますから、その言葉を額面通りに受け取るでしょう。女将が盗難という言葉を使わなければ、表だって夏美に疑惑をかける従業員もいないでしょう。一方、盗難の犯人である綾華はいつばれないか、と不安になります。それで女将に金を盗んだと申し出れば、しめたものです。綾華が名乗り出なくても、女将が盗難に対して警戒しているとなれば、綾華は次の犯行を躊躇するでしょう。
 綾華が名乗り出た場合、綾華に旅館を出てもらいます。綾華はもともと一時的な宿泊と予定されていたので、従業員は綾華が犯人だと思わないでしょう。そして、金がなくなった事実は時と共に風化していく。
 この解決策であれば、誰が盗んだのかは、女将を除いては分からないままになってしまいます。しかし、再度言いますが、盗難が風評として顧客へ伝わることを避けなければなりません。厳然たる事実の解明と問題の解決をすることで失う老舗旅館の信用を考えれば、曖昧な解決策が適切なこともあります。

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「孤独の賭け」第7話のあらすじと経営的視点

1 「愛する為の裏切り」
 東野会長の秘書である氷室が東野会長から用立て、乾百子へ貸した金を百子は東野会長へ返す。百子は東野会長へ、千種のビジネスパートナーとして自分を認めて欲しいと願う。一方、千種は東野会長の支配から逃れるため、妻の寿都子に彼女の愛人である宮田の紹介で米国のファンドをカジノ事業へ引き込むことに成功した。千種は東野会長が外資導入に反対したら、東野恒産と手を切る覚悟をした。

 百子はコレクションの準備で多忙だが、フェリーネの前のオーナーの妨害で、会場を借りられなくなってしまう。百子の片腕である信子が美香と店の売り上げがなくなった件でトラブルになり、従姉妹の美香は信子が前オーナーとクラブで密会していたことを暴露する。百子は信子に不信感を持つ。百子は千種に会いに行くが、千種は外資導入のためにニューヨークへ飛んでいた。自分には何も知らせず行動している千種との関係に百子は失望し、東野会長から融資を受けてしまう。
 ニューヨークから戻った千種は百子に会うが、貸した金を百子が返済すると言い、驚く。東野会長から逃れて自立しようとする千種と同様に、百子は千種から逃れ、自立しようとしているのである。

2 経営的視点「影響力の排除」
 経営学の視点に、重要な経営資源を依存している相手に対して、弱い立場になる、というものがあります。これは人間関係でも同じであり、理解しやすいと思います。
 千種インターナショナルは、カジノ事業に必要な資金を東野恒産から借り入れているため、東野恒産の意向を無視できません。東野恒産の意向を無視すれば、資金を引き揚げられてしまい、カジノ事業を推進できなくなってしまうからです。この関係を変えようとすれば、東野恒産に依存している経営資源を、他の企業、米国ファンドへの依存に変え、東野恒産と米国ファンドをうまく競わせて、千種インターナショナルが自立的にビジネスをできるようにするのが千種の戦略です。
 そうした経営的視点以外に、子供が親から自立したいと本能的に思うように、千種は東野会長から自立したいと思っているのでしょう。百子が千種に思うことと同様に。

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「孤独の賭け」第6話のあらすじと経営的視点

1 「牙を抜かれた野獣」
 千種から任されたバー「フェリーネ」へ東野会長から高額な絵画が開店祝いとして乾百子へ届けられた。東野会長はその一方で、バーを買収するための資金を出した千種への融資を差し止め、千種に百子との手を切るよう圧力をかける。
 大垣副総裁夫人は千種が東野会長のヤミ献金の資料を持っていることを知っていると伝え、東野会長へ謝罪をするよう迫る。大垣副総裁夫人の意見に従った千種は、東野会長と会食をすることになった。その場には東野の間を取り持った大垣副総裁夫人、大垣副総裁、そして大垣の娘婿である海江田幹事長も同席していた。千種のカジノ事業構想推進に必要な役者がそろった中で、千種は謝罪し、二度と裏切らないことと、百子と手を切ることを約束させられた。
 百子は東野会長へ絵画を返しに行き、千種へ融資して欲しいと頼む。百子は氷室に個人の資金を融資して欲しいと頼み、氷室は金を用立てし、その見返りとして百子の体を求める。その場面を見た千種は百子を避難する。千種と百子は金だけの関係ということがわかり、百子は無情を感じる。

2 経営的視点「経営者の合理性」
 人間は経済学のモデルで想定されているような、経済合理性一辺倒ではありません。だからといって、その場の感情だけで非合理的に行動する人も多くはないでしょう。人間は経済合理性と経済非合理性の間で揺れながら行動すると言えます。人によっては経済合理性が強い人もいれば、経済非合理性の強い人もいる。一人の人でも時と場合によって、経済合理性が強かったり、弱かったりします。

 経営者の場合、どうでしょうか。ステークホルダーへ価値を提供しなくてはならない経営者は、ステークホルダーにとって恩恵をもたらす経済合理性を持つべきとされています。千種の行動はどうでしょうか。
 千種は数百億円の投資をするカジノ事業へ賭けています。ところが、資金の提供者である東野会長から、百子と手を切れと言われ、それを千種はいろいろ理由をつけて、別れようとしません。ドラマの話なので千種と百子の絡みが不可欠だからですが、物語が進展すると、千種と百子の過去の因縁が明らかになります。もし、現実の状況であれば、千種は百子と手を切り、カジノ事業を推進することを選択すべきです。それが経営者として求められる経済合理性に基づく意思決定であるからです。
 
 「経営者の孤独」という言葉があります。経営者は全ての責任とリスクを負って、経済合理性に基づき意思決定しなくてはならないが、その大変さが社員や周囲の人に理解されないことから生じる孤独を意味しています。千種は女性との関係の孤独さを感じる前に、事業のために経済合理性に徹した意思決定をする経営者の孤独を感じるべきでしょう。

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「孤独の賭け」第5話のあらすじと経営的視点

1 「離れれば恋しく…」
 カジノ事業を推進するため、千種梯二郎は東野東野恒産会長と大垣副総裁へ頭を下げ、いっそうの協力を依頼した。東野会長の秘書で、片腕になっている氷室に対して、千種は東野の娘である隆子と氷室との結婚をバックアップすることで、氷室を取り込もうとする。
 カジノ事業で大垣副総裁夫人を始めとするセレブ婦人を招いてパーティーを行っている最中に、大きな地震に襲われる。地震のため、千種がカジノを造る予定地だった湾岸地区が、液状化現象で建設に適切でなくなった。

 一方、乾百子はコレクションの準備とバーの開店の準備に追われる。忙しい中、百子は千種の計画がうまくいくか心配するが、千種から逆に自分のことを心配しろと言われる。そんなとき、若い女性の20名の貸し切りパーティーの予約が入り、百子は喜ぶ。パーティーでは有名シェフに料理をしてもらい、百子は接客も生き生きとこなす。そこにパーティーの主役である東野隆子がやってくる。隆子から千種に使ってほしいと頼まれたと聞き、自分の力で客を取ったと考えていた百子は傷ついた。

 千種は地震から湾岸地区でのカジノ建設が疑問視され、厳しい状況に追い込まれる。千種は東野会長と話し合うことになった。東野会長がカジノ事業から手を引かないよう、千種は東野恒産の裏金の流れを書いた書類を手に入れ、万が一の時は東野と差し違えることまで考えた。東野会長に婿の候補として目をかけられている、部下の高木からたしなめられるが、千種は聞き入れない。
 東野は千種が百子と手を切らないことに不信感を覚えているので、話し合いは一触即発の雰囲気であった。そして東野は土地が安い地方都市にカジノを建設するよう、千種へ言うが、千種は都心部へ執着する。東野は千種が湾岸地区に固執するなら、手を引くことを臭わすと、同席していた大垣副総裁夫人が意外にも千種に賛同する。大垣副総裁はそれが大垣副総裁の意志でもあることを東野へ伝える。いつの間にか大垣副総裁夫人を味方につけていた千種の動きに東野会長は関心すると共に、用心することになった。

 千種と東野会長の会談が決裂せずに終わったことに、部下の高木は喜ぶが、千種は高木の消極的な姿勢をたしなめる。カジノ構想を推進する中で孤独を感じた千種は百子に会いに行くが、千種に側にいて欲しいと願う百子は拒絶する。追い返された千種に対して、千種の秘書の京子が待っていた。

2 経営的視点「カジノの立地」
 顧客に現地まで足を運んでもらう必要がある、小売業、サービス業では、店や施設を構える立地が重要になります。立地がその企業の経営戦略そのものと言えます。例えば、ファストフード業界で、当初、一等地へ出店を展開し、ブランドイメージの確立と客の流れを取り込もうとしたマクドナルド。あえて二等地へ出店し、出来たての美味しいハンバーグと多様な品揃えの提供で、顧客を引っ張ってこようとしたモスバーガー。この2社の出店戦略の相違は興味深いものがあります。
 カジノに関して、アメリカのラスベガスは砂漠に新しい都市を創り、世界最大の歓楽都市にしました。0から創った都市なので、カジノの街らしく、非日常的な空間を提供し、街全体がカジノ客をもてなします。カジノを楽しみたい人は、わざわざラスベガスへ行くことになりますが、ラスベガスはそれだけの価値を提供しているので、不便な場所でも問題はありませんでした。

 さて、日本に関しては、カジノはないので、テーマパークで考えてみましょう。日本でもっとも成功しているのは東京ディズニーランドは、湾岸地区の浦安に立地します。大都市東京からのアクセスは、悪くはありません。一方、埋め立て地など土地は多くありましたので、都心の一等地に比べれば地価は安かったのです。オリエンタルランドは浦安に東京ディズニーランドを創り、首都圏の多くの顧客を集客すると共に、羽田空港や成田空港もあるので、全国、海外からも集客できました。同様に、都市部に立地する戦略を取ったのは、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンで、こちらも集客面で成功しています。
 一方、地方部にも多くのテーマパークが建設されました。テーマパークのコンテンツが違い、また投資金額が小さく、経営主体も異なるため、東京ディズニーランドなどとの立地の比較は意味がないかもしれませんが、ハウステンボスなど地方のテーマーパークの経営は多くが失敗しています。不便な立地を取ると、立地の不利をカバーするために、テーマーパークは提供する価値のいっそうの向上が求められ、投資がかさみ、成功のハードルが高くなりそうです。

 少ない例で一般化するのは危険かもしれませんが、千種が湾岸地区にカジノを創ることにこだわったことは私は理解できます。カジノの近くに多くの潜在顧客がいることは、事業リスクを減らします。政府の政策としては東京一極集中をさらに促すので、あまり望ましいとは言えませんが、ビジネスとしては都市部での立地、もしくは都市近郊での立地は妥当と思います。

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ソムリエ佐藤陽一氏のおもてなし

 6月19日放送されたNHK『プロフェッショナル』では、全日本最優秀ソムリエコンクールで1位になった佐藤陽一氏(44歳)が取り上げられていました。残念ながら世界最優秀ソムリエコンクールでは、決勝の4人には残れませんでしたが、現在、日本でもトップクラスのソムリエです。
 ソムリエというのはフレンチレストランで、ワインを中心に飲料のサービスを行う専門家です。顧客の嗜好、料理とのマッチング、顧客の気持ちを考え、最適なワインを勧め、楽しんでもらうことがソムリエの仕事です。

 佐藤氏は有名フレンチレストランでソムリエを務めた後、小さな店を開業したオーナー・ソムリエです。小さな店でスタッフもシェフを含めて4名。接客は佐藤一人が行います。佐藤氏の接客は顧客の気にならない程度に用がなくても動き回り、絶えず客の様子を観察し、客を感じて、ワインの選択、接客を変えるというのが印象的でした。
 番組の中で、客の会話も酒もあまり進んでいない様子を見て、メインの料理に軽めの赤ワインを勧めているシーンがありました。客が軽いキャスター付きバッグを持ってきたので、短期の出張か、短期の出張から帰ってきた客なので、疲れているという判断で、軽めの赤ワインを勧めたそうです。

 佐藤氏は接客をしながら、店の経営をする、旅館で言うと女将の存在です。客を感じるその姿勢は、さすがプロと思わせるものがありました。素晴らしい接客は業態によって多少の相違はあるものの、本質は変わらないと実感しました。

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「孤独の賭け」第4話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 千種梯二郎からお金を借り、乾百子は親と兄の仇を討つため、福島県小名浜にある叔父一家の家と土地を買収した。そして、病床に臥している叔父を責め立て、翌日、叔父は亡くなった。復讐を終えた百子はむなしい気持ちになるが、叔父の娘の美香から恨まれる。
 一方、フェリーネの買収が終了し、百子が経営を行うものの、これまでの負債の支払いに追われ、経営が厳しい。新しいコレクションで新生フェリーネをアピールするため、百子と友人の森信子は準備を始める。
 大垣副総裁夫人から高値で買い取らされた人気のバー、レギャンを千種は百子に任せようとした。フェリーネの再建に取り組んでいた百子は断るが、融資を受けていた弱みもあって、レギャンの雇われ経営者になる。百子の幼なじみで、百子をずっと支援してきた大学講師の蒔田二郎はバーテンダーをして、手伝ってくれることになった。
 千種が百子のためにフェリーネと小名浜の不動産を買収するための融資をし、レギャンを買い取って百子に経営を任せたことに、東野東野恒産会長は千種に対して強い口調で百子と手を切れと警告する。

2 経営的視点「ファッション企業の経営再建」
 デザイナーの百子にとって、フェリーネの経営者になることは夢であり、それを実現したことでフェリーネ再建にやる気を出しています。しかし、ブランドが陳腐化したファッション企業の再建は大変です。こうしたファッション企業の再建はいくつかのポイントがあります。

①デザインの一新
 フェリーネは古くからの顧客はいるものの、デザインは今の時流に合わなくなっていたようです。もっと新しいデザイントレンドを取り入れたい百子とオーナーはぶつかり合っていました。今回、百子がオーナー兼経営者になったことで、デザインの一新を行うことが可能になりました。コレクションでまず、新生フェリーネのイメージを変えようとしています。
 デザインの一新によるブランド革新は避けて通れない道ですが、既存の顧客の離反は招きかねません。例えば、フェリーネに新たなブランドを立ち上げ、フェリーネは既存顧客を満足させる保守的デザイン。新ブランドは革新的なデザインで棲み分けさせる方法もあったかもしれません。百子はフェリーネ自体のデザインを革新する戦略を選びました。
 ブランドイメージの刷新を狙うため、デザイナーの百子を前面に打ち出していくのも良いかもしれません。

②マーケティング戦略の再考
 デザインを一新するのであれば、ターゲット顧客、価格、コミュニケーション方法を変えることも同時にした方が良いです。ターゲット顧客はより若い年齢層の女性とするだけでなく、大手企業に勤め、経済的に恵まれている20代後半のOLといったような具体的イメージを持つ方が、ニーズを反映するだけでなく、効果的なマーケティングを行いやすくします。
 以前のフェリーネは有閑マダムが購入する服という価格だったようですが、より若い人たちへの販売を考えれば、価格帯を下げた方が良いでしょう。コミュニケーションの方法はネット(携帯電話も含む)を使いこなす世代ですから、ブログなどのバズマーケティングを考えても良いでしょう。

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お金の盗難に夏美はどう対応したら良かったか?

1 ケース「盗難事件」
 加賀美伸一から旅館組合のために集金した大森旅館の5万円を帳簿につけるよう、浅倉夏美は命じられました。本来なら時江のようなベテラン仲居がやる仕事なのですが、その時、時江が女将に呼ばれてその場にいなかったので、伸一は近くにいた夏美に依頼したようです。
 夏美は帳場内で一人で、帳簿付けの仕事をしていましたが、宅配業者が玄関にやってきました。「すみません、誰かいませんか?」
 玄関に近い帳場にいた夏美はその声に対応しようとして、大森旅館のお金を、鍵を開けたままの金庫に入れて帳場を出ました。帳場を出たところで、宅配業者に反応した加賀美浩司の恋人の綾華と出会いました。気の良い夏美は「私、でますから」と荷物を受け取りました。帳場に戻ってくると、大森旅館の5万円入りの封筒がなくなっていた。
 伸一と時江に報告し、叱られるが、時江に「他に誰かいなかったの?見かけたとか?」言われた。そこで、夏美は綾華に「誰か見かけませんでしたか?」と尋ね、事情を説明しました。ところが綾華が演技して、夏美がお金の盗難を綾華のせいにした、というように浩司を信じさせ、それがもとで夏美は仲居や板場の職人から総スカンを食うことになりました。
 あなたが夏美だったら、どのような行動をとりましたか?

2 夏美が取るべき行動
 正解は一つではありません。人を信じる性善説を持つ夏美にとっては難しいかもしれませんが、もし、私が夏美だったら以下のような判断で、行動します。
 いくら誰もいない帳場であっても、多数の人がいる旅館で不用心に出かけるのはまずいです。大切な仕事をしていたのであれば、宅配業者への対応は他の仲居に任せる判断もあったかもしれません。後から他の仲居から、嫌みの一つを言われても気にならなければですが。
 もし、夏美自身が対応をするのであれば、金庫には鍵もあったので、金庫にお金を入れ、鍵をかけて帳場からでなくてはなりません。お金だけではなく、コンピューターからの情報流出を防ぐため、コンピューターの作業を中断するなら、ログオフをします。
 途中で夏美は綾華に会いました。ここで、「今、伸一支配人に大切な仕事を依頼されるので、綾華さんが荷物を受け取ってください」と綾華へ対応を依頼し、自分は帳場に戻ることもできたでしょう。

 預かったお金がなくなれば、仕事を依頼した人と上司へ謝罪と報告をしなくてはなりません。旅館内で盗まれたというナイーブな問題なので、上司らの質問に答えるのではなく、自分が認識している事実を述べ、状況を説明し、判断を仰ぐ必要があります。例えば、宅配業者がきたので、金庫の鍵をかけずに、帳場を出た。そこで綾華と出会うが、自分が宅配業者へ対応し、30秒程度、帳場を無人にしてしまいました。
 それを聞いた上司の伸一や時江が状況を判断し、解決策を考えます。伸一役の東幹久氏は別の番組において旅館で起こった事件を解決しようとする探偵の真似事をしているから、うまく解決してくれるかもしれません、冗談ですが。夏美のように解決のため、自己判断で綾華に尋ねるのはまずいでしょう。理由は夏美にそのような権限を与えられていないこと、伸一や時江の方が旅館での経験が長く解決へ導きやすいこと、加賀美屋の伝統では上司が責任を取ること、です。問題になったときこそ、上司に頼りましょう。

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「ホテリアー」最終話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 東京オーシャンホテルの株主総会の日がやってきた。意気揚々と望む森本大日東開発会長一行に対し、北野みつ子社長が病気で倒れ、発行済み株数の3%の株式を持つ水口夫人の委任状を取れなかった東京オーシャンホテル側は重苦しい雰囲気であった。北野社長に代わって緒方総支配人が株主総会の議事を進める。
 株主総会が始まると同時に、森本大日東開発会長が自ら作った取締役の選任案に関する動議を出す。自分の息がかかった人間を東京オーシャンホテルの取締役会へ送り込み、経営権を支配する考えだ。緒方はその動議に対して、賛否を問うことにした。その時、入院先から北野社長も駆け付け、心配そうに動議の採決を見守る。
 結果は森本大日東開発会長の動議が否決された。5割を超す支持を受けているとキクチから聞いていた森本は我を忘れ、キクチを責める。キクチは「僕のボスは一人だけだ」と言って水沢に笑いかける。キクチは森本を騙し、水沢と共に東京オーシャンホテルを守ったのである。

 株主総会が終わり、水沢は小田桐杏子と話をする。水沢は杏子が本当の両親を知らず、水沢の実母は養母だったことを伝えた。水沢は勘違いに気づき、二人が兄妹でないことを喜んだ。そして、水沢はプロポーズをして、杏子にアメリカ行きを誘った。杏子はそれに肯いたが、東京オーシャンホテルのスタッフたちは複雑な気持ちだった。
 森本大日東開発会長は北野社長へお見舞いに行き、東京オーシャンホテルの買収をあきらめないこと、北野社長が結婚相手に森本を選ばなかった事への恨みを伝えた。森本は私怨で東京オーシャンホテルを買収しようとしていたのである。その後、大日東開発の裏帳簿の件が発覚し、森本は逮捕されてしまう。
 北野社長はまだ治っていないが、病院を抜けだし、仕事に戻る。自分の命は長くないことを自覚し、ホテルで死にたいと言う。尊敬する北野社長の言葉を聞いた杏子は、水沢にホテルを離れられない、と伝える。水沢は自分が杏子のために日本へ戻ってくると言い、再会を誓った。

2 経営的視点「M&Aの防衛手段の整備」
 森本大日東開発会長の買収から辛くも逃れた東京オーシャンホテルですが、それでハッピーエンドではありません。優良な資産を持ちながらも業績は低迷し、また買収の危機に晒されるかもしれません。そこで、M&Aから会社を守るための防衛手段を整備しておいた方がよいでしょう。
 敵対的買収を仕掛けられ、一定の株式を取得されてしまったら、既存株主へ安い価格で新株を引き受けてもらう「ポイズンピル」を導入が考えられます。また、東京オーシャンホテルの取締役が買収相手企業によって意に添わない形で解任された場合、通常よりも大幅に高い割増退職金を支払う条項を設定しておく「ゴールデン・パラシュート」を用意しても良いでしょう。買収に応じるなど、特定の会社の行為に対して、株主総会の議決数で2/3以上にするなど、ハードルを高くする「スーパー・マジョリティ」という防衛策もあります。
 しかしながら、もっとも健全な防衛策は、業績をあげて、株主価値を高め、その価値を株主へ還元することです。資本主義の世界ですから、株式の売買は自由であり、会社の売買も自由です。意に添わぬM&Aに合わないためには、相応の経営努力をし続けなければなりません。

3 ドラマの雑感
 「ホテリアー」が予定通り、9回で終了しました。オリジナルの韓国版「ホテリアー」と比較して、回数が少ないので、どうなるかと思っていました。多少、エピソードが多すぎる感じもしますが、うまくまとまっていたと思います。NHKの「ハゲタカ」と違ってM&Aに翻弄される男女という恋愛ドラマの要素もあるので、ホテルのサービスやM&Aという経営的要素はこの程度で良いでしょう。
 ドラマの主人公の上戸彩さんは魅力的ですが、役柄のフロント・アシスタント・マネジャーにしては若過ぎます。21歳の彼女より、20代後半の女性の方が良かったように思えます。緒方総支配人役の田辺誠一さんは風格はないものの、若々しい総支配人として良かったのではないでしょうか。なお、2008年に開催される洞爺湖サミットの舞台、ウインザーホテル洞爺の総支配人は39歳の女性です。

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「ホテリアー」第8話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 緒方総支配人から、東京オーシャンホテルの買収エージェントである水沢圭吾が実の兄と聞かされ、小田桐杏子はショックを受ける。水沢は口止めしたのに杏子へ真実を伝えた緒方を責める。
 東京オーシャンホテルで働くことになった、森本大日東開発会長の娘のあかねが、父の買収目的が転売であることを伝え、それを防ぐために、大日東開発の裏帳簿のデータを、緒方総支配人へ提供した。東京オーシャンホテルを支援しようとした村上社長が襲われてします。それを知った水沢は、森本と袂を分かつことを表明するが、水沢のパートナーである弁護士のキクチは森本のエージェントをそのまま続けることになった。
 水沢は今度は東京オーシャンホテルの側に立ち、大日東開発からの買収を防衛するため、株主から委任状を集めることに奔走した。買い取りを希望する株主に対しては、水沢は私財を使って購入した。そして、委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)も終盤になり、動向が分からなかった3%の株主持分を持つ株主が、かつてセクハラ行為を捏造することで、緒方を辞任に追い込んだ水口夫人と判明した。ホテルに宿泊し、緒方を誘惑する水口夫人に対して、緒方は今回は拒絶した。水口夫人の3%の持分の委任状は敵方のキクチに渡った。
 ぎりぎりまで追いつめられた東京オーシャンホテルの北野みつ子社長は、病気のため、急遽入院することになった。

2 経営的視点「敵対的M&Aへの対抗策」
 企業を敵対的に買収しようとする場合、買収者と被買収者間で激しい戦いになります。大日東開発は東京オーシャンホテルに買収されることを認めさせる議決案を、東京オーシャンホテルは大日東開発の買収を拒否する議案を、株主たちへ提案し、賛否を問います。株式会社の場合、株1個につき1票の議決権があります。議決権を持つ多くの株主を自分たちの提案に賛成してもらおうと、両者は委任状(代理人に議決権の行使を委任する)集めに走ります。
 なるべく多くの株主の賛同を得るためには、増配や株の分割など株主のメリットある提案を議案に盛り込む必要があります。この時点におけるそれ以外の対抗策として、自社の資産を担保にして資金を借り入れて大日東開発へ逆に買収を仕掛ける、テニスコートや駐車場以外に、ホテルの土地と建物そのものを売却してしまう、より望ましい買収相手(ホワイト・ナイト)を探し、東京オーシャンホテルを買収してもらう、などが考えられます。また、大日東開発の裏帳簿のように、買収相手の弱みを握り、買収意欲を失わせる方法もあります。

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「どんど晴れ」第11週のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 大女将加賀美カツノは茶会で引退を表明し、加賀美環は9代目女将を継承し、名実共に加賀美屋の最高執行責任者となった。女将が代々引き継いでいる空の玉手箱を、カツノから環へ手渡された。
 環が9代目女将になったことで、環は時代の変化に合わせて旅館を建て直すかもしれない、と新しい経営ビジョンを示した。また仲居頭の時江と浅倉夏美の復帰を正式に告げた。夏美は加賀美柾樹と婚約を解消したため、一仲居としての修行になる。無責任に職場放棄した夏美の復帰に対して、異論が出されたものの、環は大女将が決定したことだからと、従業員を納得させた。環は機会があれば、大女将に認められている夏美を追い出したい本心に変わりない。長男の加賀美伸二の嫁、恵美子は女将修行をしたがらないので、環の頭は痛い。
 夏美は時江の下で再び、布団を敷くような基本中の基本から仲居修行を再開した。一方、私生活では同じ下宿仲間の岸本聡から好意を持たれ、聡が作った南部鉄器のフクロウをもらう。それを知った親友の松本佳奈は夏美に嫉妬し、冷たくなる。
 恋人もいないと思っていた次男加賀美浩司が、一流料亭の娘である彩華を恋人として紹介した。たまたま仲居の一人が家庭の都合で、仕事を休むことになり、人手が足りなくなってしまった。彩華は自分が手伝うと申し出て、彩華に対する環の好感度は上昇した。
 そんなある日の夕食時、調理場が大忙しの状況で、夏美は熱燗を持って客間へ行こうとする佳奈へ話しかける。夏美から逃げようとした佳奈は誤ってテーブルにぶつかり、軽い火傷を負う。責任を感じた夏美は佳奈を調理場の中の洗い場へ引っ張っていき、火傷を冷やす。女を厨房に入れないというしきたりと、白衣を着ていない仲居を厨房に入れられない衛生面の問題から、許しを得ずに勝手に調理場へ入ってきた夏美へ、板長が怒る。以前にも夏美が勝手に調理場へ入ってきたので、注意したことがあったことも伏線になっていたのかもしれない。それに対して夏美は、非常時だからと謝罪もせずに逆ギレしたため、板長はますます怒る。
 調理場には一気に不穏の空気が流れた時に、彩華が夏美の行動は伝統を破る行動で、そんな行動は老舗旅館で通用しない、と夏美を叱る。そして、仕事に戻ろうと促し、板長も怒りを収め、仕事に戻った。彩華の毅然とした態度は、反夏美の仲居たちと女将の信頼を得た。
 翌日、夏美は伸一から旅館組合の集金を帳簿に記録するよう頼まれる。仕事中に宅配業者が来たので、不用心にもお金を置きっぱなしにして、途中に会った彩華に代わりを頼みもせず、業者に対応する。そして、戻ってみるとお金がない。伸二にそのことを報告し、怒られる。夏美は途中で会った彩華に、誰かを見なかったか、と訊ねる。その後、夏美と別れた彩華は泣いてしまう。それを見て、彩華からその理由を聞いた恋人の浩司は夏美に怒りをぶつける。

2 経営的視点「リーダーの交代」
 カツノの後継者は柾樹の母親であったが、亡くなったため、カツノが大女将として再度、最高執行責任者も兼務し、次男の嫁である環を後継者として育ててきました。そして茶会でカツノは引退し、最高執行責任者の座を環へ譲りました。
 自らリーダーの座を後継者へ渡すというのは、高い評価を得ているリーダーほど、抵抗感があるようです。後継者はまだ実力不足、自分でないと組織はまとめられない、精神的にも肉体的にもまだまだやれる、などいろいろな理由をつけて、リーダーの座にとどまる経営者が多いです。しかし、優秀なリーダーは持続的経営のために、後継者を育成し、後継者が経営しやすい環境を整え、経営権を引き渡します。そして、リーダーの座を去った後、言いたいことがあっても後継者を信じ、任せて、口を出さない事。そして、リーダーの座を降りたとはいえ、組織への影響力が強いので、組織を乱さないため、言動には十分注意する事です。同族経営の場合、同族間の血縁を基盤にした人間関係の感情がそこに加わるため、いっそう気をつける必要があります。
 今回、引退を決めたカツノですが、環が十分、女将としての実力を持っているので、もっと早く引退し、環に経営権を承継した方が良かったと思います。もし、経済評論家の斎藤愛子から訴訟を起こされるという事件がなければ、ずっと大女将として実権を握り続けたような気がします。
 また、環の後継者に関して、カツノが決めるのではなく、環に決めさせた方が良いでしょう。後継者を育てるというのはリーダーにとって重要な責任ですが、それを先代から言いつけられたのと、自分で決めたのではどちらが後継者育成にやる気を出すでしょうか。また、カツノが夏美を女将候補として修行をさせる決断をしたことで、環の長男の嫁恵美子と対立を生じさせる要素を生み出すことになり、同族間、そして旅館内に余計な不協和音をもたらす懸念があります。環の意思で夏美を女将修行させるのなら良いのですが、引退をする直前の時期にこのような人事をしたカツノの意思決定には問題がありそうです。
 日本にはある歳になったら、すっぱりと身を引き、家業に口を挟まず、遊んで生活する、「楽隠居」という言葉があります。この言葉はリーダーの座に固執し、形式的な引退後も権力を行使するを元リーダーを諫めるための言葉なのかもしれません。カツノは環の経営に関して不満があっても、楽隠居し続けることが、長期視点で見て加賀美屋にとって良いことと思います。

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「孤独の賭け」第3話のあらすじと経営的視点

1 「醜聞」
 千種梯二郎は東野恒産の東野会長の資金力によって、ニューセンチュリービルをオープンし、不動産業への進出を果たした。千種は若手財界人としての地位を固め、カジノ構想に弾みをつけるべく、オープニングパーティーに政権与党の大垣副総裁を招待した。大垣副総裁が来るか来ないか、ぎりぎりのところでも東野会長に救われた。
 オープニングパーティーには乾百子も出席したが、千種の愛人と見られ、大垣副総裁夫人たちに蔑まれた。そして、この場で千種を悪く言う雑誌記者ともめ事を起こす。その時はまだ、雑誌記者が将来、火種になることは千種も予想しなかったが。
 政治を巻き込んだカジノプロジェクトを推進するに当たって身辺を綺麗にする必要があるため、千種は東野会長から、乾百子と手を引け、と忠告された。しかし、百子に惹かれる千種は、百子が育ての親である叔父夫婦へ復讐するための3,000万円を貸してしまう。

2 経営的視点「カジノ市場」
 日本ではカジノはギャンブル性が高いため、日本では許可されていない事業です。アメリカのラスベガスを見るように、カジノは経済波及効果が高く、地域活性化策として、政府や東京都を始めとしていくつかの地方自治体で検討されていたこともあります。
 市場規模はパチスロ市場が約30兆円あり、競馬等の公営ギャンブル市場が6兆円。国際的なギャンブルのカジノであれば、海外からも観光客を集客し、より大きな経済効果が期待できます。しかし、パチスロ業界のように利権が複雑に絡み、カジノ自体が合法でないため、千種一人では実現できない事業です。そこで政治の利用です。
 ビジネスは直接、間接に政治と結びつかないとうまくいかないことも多いですが、政治と関わることは、政治資金源にされることにつながり、いろいろと大変です。

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「ホテリアー」第7話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 小田桐杏子と異父兄妹と知った水沢圭吾は落ち込む。岩間副総支配人はますます調子にのり、第一次整理解雇者案を張り出す。その行為を北野みつ子社長にとがめられるが、岩間はホテルのためと言い張る。
 水沢から東京オーシャンホテルのテニスコートと駐車場が売却される事を聞いた森本大日東開発会長は、「絶対阻止しろ、評価額が下がる」と怒る。その言葉を聞いて、水沢は森本が東京オーシャンホテルを買収した後、更地にして転売することを悟った。話が違うと怒る水沢は怒るが、「あんたにとやかく言われる筋合いがない」と森本も怒る。
 東京オーシャンホテルへ戻った水沢はホテルで起こった事件の解決に貢献する。緒方総支配人は水沢に感謝しつつも、これ以上、小田桐を苦しめないで欲しい、と頼む。緒方に対して水沢は杏子が妹であると告白し、杏子には内緒にして欲しいと言う。しかし、緒方はあっさり、杏子へそのことを打ち明けてしまう。

2 経営的視点「M&Aの手法」
 企業のM&Aの方法はいくつかあります。まず、相手の株式と自社の株式を交換して合併する方法。金銭か株式で株式で買収する方法。自社の株式と相手の株式を交換することで、相手を子会社化するか、自社が子会社になる方法。金銭により相手の営業権を含む資産を譲ってもらう方法があります。
 森本大日東開発会長は、東京オーシャンホテルの事業ではなく、資産に魅力を感じ、転売することが目的だったため、東京オーシャンホテルの株を買収して、経営権を奪い、ホテルの資産を売却させる方法を選択したのです。東京オーシャンホテルの株式の過半数を買収しなくても、他の株主の賛同を得れば、より少ない投資で東京オーシャンホテルを手に入れることが可能になります。
 こうした投資目的の買収を防ぐためには、資産を売却したり、負債を抱えて、企業としての価値を下げる防衛策が採られるかもしれません。それ以外の買収防衛策として、米国スティールパートナーズというファンドの買収を防衛しようとしているブルドックソースのように、新株を発行して第三者割当で友好的な投資家へ売却し、買収しようとする相手の出資比率を下げてしまう方法もあります。

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「ホテリアー」第6話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 水沢圭吾は東京オーシャンホテルの経営再建のコンサルタントとして着任し、北野みつ子社長らにリストラ案を突きつける。小田桐杏子は水沢に裏切られた気持ちでいっぱいになる。
 水沢は次に岩間副総支配人へ買収後の総支配人の地位を餌にして、水沢の味方に取り込む。水沢の後ろ盾を得た岩間は総支配人のごとく、従業員の勤務態度をチェックし、従業員からひんしゅくを買う。
 リストラの不安が渦巻く東京オーシャンホテルへ壮年の村上夫妻が宿泊しに来る。村上夫妻は東京オーシャンホテルのオープンの日に宿泊した部屋を希望した。そして、村上夫妻は30年間に食べたディナーを注文し、杏子と料理長はその注文に応えようとする。それを知った岩間は2人の客のために料理を作るなんて、と嫌みを言うが、料理長は自分のポケットマネーで食材を買う、と一喝する。
 村上夫妻は30年前に食べたメニューを味わいながら、結婚式を挙げる前に会社が不渡りを出して、結婚式を挙げてないと杏子へ話す。その話を聞いた杏子は緒方総支配人や仲間と共に村上夫妻へ結婚式をプレゼントする。突然の結婚式に驚く村上夫妻だが、非常に喜ぶ。そのシーンを見た水沢は杏子がなぜ東京オーシャンホテルを大事に思うか、少し理解した。
 翌朝、村上夫妻が緒方を呼びつけ、ある提案をする。村上が社長を務める不動産会社が東京オーシャンホテルのテニスコートと駐車場を買い取り、再度、東京オーシャンホテルへ貸すというスキームを提示した。このスキームで東京オーシャンホテルは会社の資産価値を減らして買収の魅力をそぐ一方、売却して得た資金を負債返済に充てる。東京オーシャンホテルの一筋の光明が見えた。
 一方、水沢は自分を捨てた両親を捜したに関する報告書を読み、驚く。なんと杏子と水沢は異父兄妹だったのである。

2 経営的視点「ホテルのリストラ」
 ホテル経営において建物や施設の減価償却、労働集約的サービスのための人件費など、宿泊客がいようが、いまいがかかってしまう固定費の割合が高いことが多いです。東京オーシャンホテルの場合も例外でなく、まずは人件費の削減を考えます。
 しかしながら、東京オーシャンホテルのようなシティホテルにおいて従業員はサービスの価値を産み出す重要な経営資源ゆえに、人員削減は慎重に行う必要があるでしょう。岩間のようにこれ見よがしにリストラをちらつかせるのは、従業員のやる気を著しく低下させるのでやってはいけません。あらかじめリストラ候補を決め、一気に行う必要があります。人員を減らすとサービスの低下につながるので、人件費が安い派遣社員に切り替えることなどで対応します。例えば、東京オーシャンホテルが人材派遣の子会社を設立し、正社員を子会社へ給与を引き下げて転籍させます。その人材派遣子会社が東京オーシャンホテルの元社員を古巣へ派遣します。
 建物や施設も同様です。これらの固定資産を売却し、売却収入で借金を返済し、貸借対照表を改善します。ホテルは建物や施設を売却した先から建物や施設を賃貸してもらいます。小田桐の機転が利いたサービスの結果、図らずもこのスキームを使うことになりました。

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鈍感力は旅館の女将に必要か?

1 浅倉夏美の鈍感力
 作家の渡辺淳一氏が執筆した『鈍感力』という本が売れています。 鈍感、すなわち、周囲に対しての気遣いの感性が鈍いというのは従来、マイナスで捉えられていましたが、渡辺氏は鈍感を評価しています。周囲のことが気にならないほど打ち込むこと、それが困難なことをやり遂げる時に必要なこととしています。
 さて、「どんど晴れ」で浅倉夏美の主人公は、周囲の人の心情に無頓着な女性で、今流行の鈍感力が高い女性なのでしょうか?

・職場放棄したのにもかかわらず、加賀美屋へ戻って来て、大女将の加賀美カツノと女将の加賀美環に対して最初の第一声は「もう一度修行をさせてください」。普通の人は職場放棄という行為を謝罪するのではないでしょうか。

・女将が「あなたが加賀美屋へ戻り、修行を続けることに対して賛成しかねる」と夏美へ伝えた時、夏美は呆然とした表情で、女将の言葉が信じられないという表情をしていました。女将夏美に対して発した言葉の背景にある心情を理解できないからでしょう。

・婚約を白紙に戻すと言った婚約者の実家で修行を続け、初日にして電話をする行動は、加賀美柾樹が夏美の婚約白紙の本意を理解しているにせよ、失恋した柾樹の気持ちをえぐるような行動ではないでしょうか。

・茶会で使用される茶釜を平治の工房へ取りに行きました。加賀美伸一の発言で怒っている平治に対して、「修行を続けたいから茶釜を欲しい」と言いました。怒った平治は「帰れ」と言いますが、夏美は「創ってくれるまで帰りません」と逆ギレして、居座り続けました。

4例をあげましたが、夏美の行動は周囲の人の心情を考えないで、自分の目標を追求する、鈍感力の強い人と言えます。

2 鈍感力は免罪符ではない
 周囲の人の心情を考えず、自分のやりたいことをやり、成し遂げる行動は、渡辺氏が書いているように、成果をあげるかもしれません。その成果が周囲の人にとって良い影響を与えるならいいのかもしれません。
 しかしながら、鈍感力の高い人の行動は周囲の人にストレスを与えます。例えば、夏美が宿泊客の子供を祭りに連れ出し、アレルギーの発作を起こさせてしまった事件は、上司の時枝の命令を無視した結果、生じたことです。それによって、時枝は解雇という処分を受けています。夏美の行動で人生を狂わせられた時枝は、時枝の命令を無視し、ミスを犯し、大きな問題を起こしたことに対して謝罪をしない夏美の鈍感力に対して、仕方がない、「天性の才」と言って許せるでしょうか。時枝にとって「天性の災」です。
 周囲の人の心情を考えない行動、それが顧客の心情を考えない鈍感な行動だとしたら、大きな災いを加賀美屋へ与えます。評論家斎藤愛子から起こされた訴訟に対する夏美の行動も、いっそう事を大きくし、加賀美屋の経営に打撃を与えることになったかもしれません。そうしたリスクを理解すれば、夏美の鈍感力はおもてなしの精神と反すると思います。
 課題を突破する、大事を達成するために鈍感力が必要という渡辺氏の考えは、理解できるところはあります。難事をなす時には鈍感力で周囲の反発を気にせず、正しいと思う事を実行し、達成しなくてはならない事もあります。旅館の大女将として、加賀美屋の伝統を守るため、夏美に女将修行させています。こうしたやり方をすれば、旅館の後継者としての自覚を持っている女将の環や次男一家がどういう気持ちになるか、と言うことにはあえて鈍感になり、経営判断をしています。
 しかし、旅館経営の視点から鈍感力は、100%支持できません。顧客の心情を十分理解し、予測し、その顧客にあった最良のサービスをすることが、旅館の女将の務めです。鈍感力は免罪符ではありません。鈍感力がもたらす周囲へのマイナス、組織経営のリスクを理解した上で、旅館の女将は鈍感力を時と場合によって使い分ける必要があります。鈍感力が高い人は、そんなことを考えないかもしれませんが…

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「どんど晴れ」第10週のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 大女将である加賀美カツノの真意を知った浅倉夏美は、加賀美柾樹との婚約をいったん白紙に戻し、自分の意志で女将修行をするため、盛岡の加賀美屋へ戻った。非常識な職場放棄をし、その行動に関する謝罪もできない夏美をそのまま受け入れるわけにはいかないため、大女将は一計を案じた。
 女将の加賀美環の長男である加賀美伸一が南部鉄瓶の職人平治を怒らせ、茶会で使う茶釜の新作をもらえなくなった。その問題を解決したら、夏美の願いを聞く理由も出てくるだろうという論理である。当然、自分の長男が犯したミスなので、女将も反対しないという読みがカツノにあった。
 夏美はすぐさま、平治の元へ向かい、これまでの親しい関係にあったので茶釜をくれ、と甘い考えで頼むが、平治をますます怒らせる。平治にしてみれば伸一にプライドを傷つけられた問題の解決なしに、茶釜をくれと頼まれても、断るしかない。夏美は持ち前の強引さと押しの強さで、平治の家に居座る。平治の体に配慮したブルーベリーを食べさせるなど、夏美は懐柔をし、素直に茶釜の評価を平治に伝えた好感もあり、根負けした平治は茶釜を夏美に渡す。
 大女将は茶釜を無事に手に入れた夏美の実績を評価し、女将の意向を無視して、夏美の仲居修行再開を認めた。

2 経営的視点「同族経営の問題」
 加賀美屋はこれまで同族経営で、娘か息子の嫁が女将を継承しています。従業員も家族、親戚だから、自分たちと異なるキャリアパス、例えば女将になることを前提とした修行など、を歩んでも不満に感じないし、自分より能力の低い女将でも素直に指示を従います。今回、柾樹との婚約を白紙にした夏美は加賀美家と関係ない人です。その夏美に女将になることを前提とした修行をさせることは、加賀美屋の経営承継のルール自体を変えないといけません。ルールを変えずにそれをやることは、老舗旅館のアイデンティティの崩壊につながる懸念があります。
 また、女将の環は仲居頭へ降格したとはいえ、従業員、顧客、同業者に対しても正統な後継者として認められた女性です。その女将の意向を全く無視して大女将が経営上、非常に重要な女将後継者として夏美を選ぶことは、リーダーとして正しい行動でしょうか。
 今回の一件に関わらず、大女将と女将の間の関係はうまくいっていません。長男のホテル構想を認めたり、仕事を終えたら一人の女性に戻る女将の理念、資質、能力に関して、大女将は疑問があるのでしょうか。女将にはなく、夏美が持っている資質を女将がもっとも学べきと考え、あえて夏美を戻したのでしょうか。自分が選んだ後継者の仕事がやりにくくするような状況を作り上げていく大女将には何か考えがあるのでしょうか。
 同族経営の一つの大きな問題は、家族間の感情の軋轢が経営問題に発展しかねないところです。今回の大女将が取った行動はそうした感情上の軋轢を大きくするようで疑問があります。

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「孤独の賭け」第2話のあらすじと経営的視点

1 「復讐劇の幕は開く」
 乾百子と一夜を共にした千種梯二郎の支援の下、百子はフェリーネの買収を進めた。一方、千種のカジノ計画は、スポンサーである東野恒産の東野会長から、千種の部下高木を娘婿に欲しい、という条件を出される。また乾百子から手を引け、と千種は強く言われた。
 千種の妻、寿都子は宮田という投資家に会って欲しい、と言われる。宮田はアメリカで活動するコンサルタントで、巨大な利権を生むカジノ計画へ加わりたかったのである。千種は宮田をカジノ計画のカードに加えることにした。

2 経営的視点「資金調達」
 ビジネスを行う上で、資金は必要不可欠です。天涯孤独な千種は資産を持たなかったものの、東野会長からの融資によって飲食業で成功し、成り上がっていきました。飲食業、特にバーなど酒を出す店は日銭を生む、うまくやれば収益性の高いビジネスですが、多店舗化しても、カジノのような大規模開発へ投資できるだけの巨額の自己資金は得られなかったのです。
 資金を調達するのであれば、会社を上場して株式市場から資金調達をする、私募債(限定された投資家のみへ販売する債権)で資金調達をする、といった直接金融が考えられます。しかし、千種の手がけているビジネスでは、低い社会的評価もあって上場が難しいと見られ、私募債での資金調達も困難かもしれません。
 そうなると金融機関からの借金という間接金融です。金融機関からの融資は基本的に担保を必要としますから、千種インターナショナルは自社ビルを持つものの、それを担保に数十億円の融資を引き出せても、それ以上の融資を引き出すのは難しいでしょう。 だからこそ、千種にとって資金を投資してくれる東野会長は、非常に大切な金づるです。東野会長が所有する東野恒産は数千億円の資産を持ち、その資産を投資し、利益をあげる投資事業もやっています。千種はその投資案件になっているのです。二人は金という共通の利益によって結びついています。しかし、千種と東野がそれぞれ利益を極大化しようとしたとき、対立が生まれます。この二人の関係はこのドラマの大切な要素になっています。

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「ホテリアー」第5話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 水沢に好意を持った小田桐杏子に対して、岩間副総支配人らが水沢のスパイという疑いを持つ。杏子は水沢にホテル買収を考え直して欲しいと頼むが、水沢から買収を止めたら一緒にアメリカへ来てくれるか、と逆に尋ねられ、即答できなかった。
 森本大日東開発会長は娘のあかねが家を出て、東京オーシャンホテルで働いている事を知り、連れ戻す。
 杏子は考え抜いた末、買収を止めてくれたら水沢と一緒にアメリカへ行くと告げる。水沢はホテルで働き続けたいという杏子の本心を見抜き、「アメリカへ行く必要はない、僕を信じて欲しい」と言う。杏子は水沢の言葉に安心する。
 しかしながら、翌日、主要スタッフが緊急招集され、その場に水沢とキクチが乗り込んできて、リストラを行うと発表する。杏子は水沢に裏切られたと感じた。

2 経営的視点「顧客満足と従業員満足」
 東京オーシャンホテルの業績は低迷していますが、杏子を始めとして東京オーシャンホテルで働くことに喜びを感じている多くの従業員がいます。それだからこそ、大日東開発の買収に対して拒否感を示すのでしょう。
 こうした従業員が多くいるホテルの顧客満足は高まります。なぜなら従業員が顧客満足を生むサービスを提供するからです。前回も言及したザ・リッツカールトン・ホテルでは、顧客へサービスを提供する紳士と淑女(従業員)がもっとも大切な資源と明確にしている。従業員個人の才能を育成し、個人の志を実現する職場環境を作るとしています。
 また従業員へ顧客サービスに関する一定の権限を委譲し、従業員が柔軟なサービスを顧客へ提供できます。それが素晴らしいサービスであれば、顧客は喜び、従業員に感謝します。それが従業員のやる気につながります。やる気がより良いサービスにつながり、ますます顧客満足を高める、好循環を生みます。
 東京オーシャンホテルが従業員に愛されている理由は、ドラマからあまり良く感じられませんが、人間関係の良さはその一因になっているようです。

参考文献 高野登『サービスを超える瞬間』かんき出版、2005年。

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サービス業の人材教育と育成

1 浅倉夏美の勘違い

 私は中小企業の経営者、人事担当者に話を聞く機会が時々ありますが、「今時の若者は…」と若者の行動や考えに対する愚痴を聞かされたり、若者の教育研修問題に対する解決策を求められたりします。時代が変われば、人の価値観も変わるし、その時代に求められる行動も変わります。しかしながら、旅館業におけるサービスに対する普遍的基準に「顧客を不快にさせない」ということがあります。顧客を不快にしないことが、サービスに求められる最低水準で、その上に顧客をくつろがせる、和ませる、楽しませるといった付加価値が加わっていき、おもてなしができあがると考えます。
 主人公の浅倉夏美の行動を見ていると、残念ながら付加価値にあたるサービスに目を奪われており、顧客を不快にさせないというサービス業の基本であり、最低限のレベルのサービスを軽視しているように思えます。例えば、夏美は以前、大女将が顧客の左右の履き物を置く位置を変えている意味に気がつきました。そうした細かい気配りの意味を考え、理解できる、サービス業に携わる人にとって重要な能力を持っているエピソードと言えます。その反面、経済評論家の斎藤愛子の息子である翼を愛子に無断でさんさ祭りへ連れ出したことは、息子と一緒に祭りを楽しみたいという愛子の気持ちを無視した、不快なサービスだったのではないでしょうか。その上、大事な息子のアレルギーの発作を起こさせてしまえば、不快が怒りに変わって当然です。
 いわば夏美はサービスの本質を十分理解していないと言えます。

2 加賀美屋における人材教育のシステムの必要性

 サービス業に従事する人間として、最低限すべきこと、顧客を不快にさせないことをすらできない夏美をどうしたら良いでしょうか。夏美の行動を非難するだけでは解決しません。サービスの理念を教え、そしてこれまで加賀美屋が培ってきたサービスの最低限のレベルをまず教え、行動できるように訓練することです。OJTであると顧客に迷惑をかけるので研修の場を別に用意した方が良いでしょう。その基本ができてから、次の段階で付加価値のあるおもてなしを教育すべきです。
 サービスの基礎ができていないのに、いきなり応用レベルのサービスに突っ走っているのが夏美の現状です。なぜそうなったのか、夏美が女将になる気が満々で、先走りすぎているという夏美自身の問題と、加賀美屋の教育、研修、訓練がOJT(現場でのトレーニング)中心で、基礎から体系立てて人材を教育するシステムが不十分という問題があるようです。また女将の加賀美環が仲居として最低限できなくてはならないサービスの教育を、仲居見習いの佳奈に任せている問題もあります。は中小企業には悠長に人材を育てている暇も時間もない、という呟きが聞こえてきそうですが、夏美の勝手な行動が老舗旅館の経営を揺るがす大問題になったのを見れば、教育の大切さは十分おわかりいただけると思います。
 人件費抑制のために、アルバイトを多く雇用して、事業をしているサービス業が多くなっている現状、サービスの基本から、体系的に教えていく必要性がいっそう高まっています。あなたの会社は夏美のような人材を出さないような、教育システムがありますか?

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「ホテリアー」第4話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 水沢の正体を知った小田桐杏子は、「僕を信じて欲しい」と水沢から言われたものの、水沢に利用されたという想いが強く、深く傷ついた。杏子は緒方総支配人に水沢の正体を伝え、水沢にホテルを出てっていってもらうよう進言した。緒方は水沢がどんな仕事をしているかにかかわらず大切なお客様だ、と却下する。
 一方、水沢は杏子に拒絶され、傷つく。杏子に理解してもらおうと杏子に迫る水沢に対して、緒方は今はそっとしておいて欲しい、と伝える。緒方をライバル視する水沢は緒方に「彼女を愛しています」と言う。岩間副総支配人は水沢とキクチの部屋へ勝手に入り込み、荷物を出してキクチから強い怒りを買う。従業員たちはホテルを買収しにきた水沢たちを強く意識する。
 そんな中、仕事に出かけた女性から目をかけて欲しい、と頼まれていた子供がホテルからいなくなってしまう。従業員たちはホテル中をくまなく探すが見つからない。その子供を水沢が公園で偶然発見した。水沢もその子供と似たような境遇にあったので、その話をし、母親を理解してあげるように子供に言い聞かせる。子供を迎えに来た杏子は水沢のその話を聞き、複雑な気持ちになる。
 子供を部屋へ送りに行った杏子は、水沢が寂しげに公園で昔を思い出している姿を見つけた。いてもたってもいられなくなった杏子は水沢を抱きしめた。

2 経営的視点「ホテルの目指すべきサービス」
 東京オーシャンホテルを買収しに来た水沢たちをどう扱うか、緒方と岩間を始めとする他の従業員とでは大きな違いがありました。他の顧客へ迷惑をかけるわけではないので、お金を支払ってホテルに泊まりたい、という顧客を差別しない、緒方の考えはサービス業の理念に合致しています。杏子のように従業員としてあまりにも顧客個人へ感情的に入れ込むと、出て行って欲しい、という気持ちも出てくるのでしょう。ホテルの従業員は最良のサービスを顧客へ提供すべきですが、それは顧客へ過剰な感情を持ち込まないことが必要です。
 ところで、本日、日経CNBCでザ・リッツ・カールトン東京のリコ・ドゥブランク総支配人のインタビューを見ました。ザ・リッツ・カールトンは世界でもっとも優れたサービスを提供するホテルと知られ、ザ・リッツ・カールトン東京は先日、東京ミッドタウンにオープンした最新のホテルです。
 ドゥブランク総支配人は、ザ・リッツ・カールトンは顧客へかけがえのない想い出を作るために、Comtemporary Warm(現代的な暖かさ)を提供するホテル業かつサービス業と表現していました。そして、従業員に求めるのは大きな心でサービスすることだそうです。こうしたザ・リッツ・カールトンのサービスの理念は「クレド」(ラテン語で「信じる」という意味)まとめられています。
 顧客満足を高めるサービスの原点は、以下の3つのステップを行うことだそうです。顧客へ心からの挨拶をして、名前で呼ぶこと。顧客の多様なニーズを先読みしてサービスを提供すること。顧客に名前を呼んで感じの良いお見送りをすること。特にニ番目のステップは重要だと思いました。ただ、前述したように、あくまでもホテルの従業員として顧客のニーズへ対応すべきで、個人的感情で顧客のニーズに対応すべきでないことは言うまでもありません。

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「どんど晴れ」第9週のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 亡き母のため、加賀美柾樹に旅館を継いで欲しい浅倉夏美は柾樹に婚約解消を願い出る。現在勤務中のホテル退職が決定済みなのに、柾樹は横浜で夏美と一緒に暮らすという。家出して柾樹の部屋で引きこもっている夏美へ、不思議なことに斎藤翼からの手紙が仲居仲間の佳奈から転送されてきた。岩手での想い出を創ってくれた夏見に感謝する手紙だった。
 夏美はいつものように後先を考えず、謝罪するために翼の自宅に向かう。そこでマンションの玄関前で長時間翼を待ち続け、訴訟を起こされている相手、斎藤愛子のの部屋へ上がり込む。家政婦が作った料理を、好き嫌いの激しい翼が捨てようとしたのを見て、謝罪することも忘れ、翼を挑発する。そして、他人の家の冷蔵庫を勝手に開け、野菜嫌いの翼に豆腐ハンバーグを料理した。喜んで食べている翼に夏美はやっと謝罪をした。
 一方、加賀美家では夏美の勝手な行動の管理責任を問われ、斎藤愛子から起こされた訴訟の対応で揺れていた。加賀美伸一や女将の加賀美環は弁護士に相談しようとしたが、大女将の加賀美カツノが誠心誠意謝罪するという精神論で一蹴するので対応できない。訴状のみを見せに岩手までわざわざ来た弁護士から、500万円の損害賠償だと知らされ、治療代、岩手旅行のキャンセル料、精神的苦痛といった以上の懲罰的な損害賠償金額に、女将たちは驚く。大女将は斎藤愛子へ謝罪に行くことにした。
 斎藤愛子は許可なく愛子所有のマンションへ不法侵入し、保護者の許可を得ずに翼へ料理を作って食べさせた、非常識な夏美に再び怒りを覚えた。そして、夏美を部屋へ呼び出した。ところが夏美は自分のミスや非常識な行動を棚に上げ、翼は母親の愛子がいなくて寂しいのを我慢している、と論理をすり替え、やんわりと愛子を批判する。翼も夏美を感情的に擁護してきたため、愛子は夏美が息子翼を苦しめたことを忘れ、夏美を許した。
 そして、大女将のカツノが愛子と翼の部屋へ謝罪に来ることになり、愛子は夏美に連絡し、部屋へ呼んだ。大女将がやって来て、誠心誠意謝罪すると共に夏美に女将修行を続けて欲しかった、という本音を吐露した。愛子は隣の部屋で盗み聞きしていた夏美を呼び出し、訴訟を取り下げるとカツノに伝えた。夏美は自分のした行動を反省し、加賀美屋へ戻りたいという気持ちになった。大女将は訴訟になった原因を都合よく忘れ、訴訟を取り下げられたことは夏美さんのお陰と、女将たちに伝える。

2 経営的視点「旅館の経営再建」
 ドラマの中で加賀美伸一が加賀美屋をホテルへする話をしていました。旅館業界は経営が厳しい状況にあります。1991年に旅館業界は35,020億円の売上がありましたが、2004年に19,790億円まで減少しています(国土交通省調査)。ホテル業界と同様に、団体旅行を中心とした旅行需要が低迷し、宿泊料金は値下がりし、それでも客は減少していました。また家業で経営している小規模旅館が、経営悪化や後継者不足から廃業している数も増えているようです。
 こうした旅館業界の業績悪化から加賀美屋も逃れられず、伸一はホテルへの業態転換を構想しています。それが正解なのでしょうか?
 近年、個人客市場における旅館人気が高まっています。高い料金の旅館でも稼働率が良いところもあります。旅館人気は全ての旅館ではなく、美味しい食事を食べられ、良い露天風呂があって、よく手入れされた設備と景観、そして一流のおもてなしがある旅館に人気が集まっています。
 加賀美屋はそのいくつかの条件を満たしていると思われ、まずは馴染みの客だけでなく、新規顧客を獲得するマーケティングで売上拡大を図ったほうが、新規投資も少なく、経営上のリスクも低いでしょう。例えば、自分へのご褒美として旅行をする団塊の世代にターゲットを絞って、最上級の料理とおもてなしをする。加賀美屋ならそのようなプレミアム戦略も可能ではないでしょうか?

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「ホテリアー」第3話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 北野みつ子社長の息子、洋介が起こした不祥事を解決した緒方総支配人への信頼は、社長と従業員から高まった。一方、水沢は小田桐へ積極的にアタックする。緒方総支配人を慕う小田桐は水沢の好意に対して複雑な気持ちだ。
 森本あかねは父である森本大日東開発会長への不満から家を出て、好意を持つ緒方がいる東京オーシャンホテルで働くことになった。あかねはホテルを出かける水沢を見かけ、水沢は父が雇った東京オーシャンホテル買収のコンサルタントだということを思い出し、緒方に知らせる。その話を聞いた小田桐は水沢へ単刀直入に「東京オーシャンホテルを買収しに来たんですか?私を利用しようとしたんですか?」と尋ねた。水沢は小田桐に「信じて欲しい」と答えた。

2 買収の準備
 東京オーシャンホテルを買収しようとしている側の水沢と、そのパートナーである弁護士のエドワード・キクチが、東京オーシャンホテルのスイートルームに宿泊しています。彼らは何をしているのでしょうか。
 企業の買収に当たって、まず買収する企業の価値を算定し、適切な買収価格を決めなくてはなりません。企業の価値は貸借対照表上の価値だけでなく、施設の痛み具合や管理状況を確認した上で資産価値を計算しなおします。また、ホテルの客入りと客筋、サービスのオペレーションと内容を見て、現在の経営の課題を抽出し、解決策を考え、将来の事業収益を予測します。こういった買収に当たっての評価を「デュー・ディリジェンス」と呼びます。
 デューディリジェンスをして適切な買収価格を決め、その後、上場会社なら株式を証券市場から買い集めていきます。また主要株主から株を買い取る約束を取り付けていきます。
 水沢とキクチは部屋をあまり出ないことから、資産価値の計算、法律上の問題点の確認、事業計画書の策定をしているのかもしれません。出かける先は主要株主でしょう。たった二人で東京オーシャンホテルを買収するとなれば、ホテルの従業員に恋をしている暇があるのでしょうか。

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「孤独の賭け」第1話のあらすじと経営的視点

1 「愛と金と欲望」
 千種インターナショナル社長の千種は、不幸な過去をおのともせずに、飲食業界で起業し、成功を収め、カリスマ経営者と名高い。乾百子は女優が経営するブランド「フェリーネ」のデザイナーとして安月給で働いている。ある日、乾は高級外車のメルセデスベンツのマイバッハに轢かれそうになる。マイバッハに乗っていたのが千種だった。
 乾が雇われているフェリーネが経営不振で、2,000万円あれば買収できる。相手がカリスマ経営者の千種でわかった乾は千種に賭けを申し出る。乾に2,000万円を貸し、乾が2,000万円を返せなければ、千種は乾をどうしても良いというものだ。
 千種は乾の申し出を受けて、2,000万円を乾へ貸した。

2 経営的視点「エンジェルはどこにいる?」
 1990年代末から東証マザーズを始めとした株式の新興市場が誕生し、ベンチャーブームが起こりました。多くのベンチャー企業が株式を上場、公開し、勝ち組経営者を生みました。しかし、株式を上場したり、公開することで資金を集められるのはある程度の経営実績があったり、成長の可能性がある企業だけです。
 千種のように何も持たない若者が、飲食業で起業しようとすれば、資金をどうやって調達するのでしょうか。民間金融機関は事業実績のない企業には個人保証がないと貸してくれません。国民生活金融公庫も審査があり、簡単にお金を貸してくれません。自己資金がもっとも確実ですが、お金を貯めるのは大変です。親や親戚からお金を貸してもらうのも良いのですが、千種は家庭に恵まれておらず、お金を貸してくれる親や親戚はいないようです。
 そんな千種にとって、東野順造に出会ったのが成功の第一歩になったようです。金がないものの能力とやる気のある若者に資金を投資や融資し、将来、成功したときに回収する、東野のような個人の投資家をエンジェルと呼びます。
 エンジェルは自ら経営者として成功し、莫大な個人資産を持っています。しかし、エンジェルは自分で新事業をやるには年を取りすぎ、今度は若者に投資をして儲ける、そんなやり方を取ります。
 それでは自分に投資をしてくれるエンジェルがどこにいるのか? 例えば、自ら起業し、株式を上場して資産を作った経営者や元経営者。上場してはいないものの、オーナー企業の経営者や元経営者。そんな人の中にエンジェルはいます。しかし、エンジェルは自ら宣伝しているわけではないので、この人はと思う経営者へアタックしてみてはどうでしょうか。あなたが優秀で、事業計画が魅力あるものならば、もしかしたらやる気と経営能力以外に何もないあなたに投資してくれるかもしれません。

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「私を旅館に連れてって」最終話のあらすじと経営的視点

スカイパーフェクトTVの「フジテレビ721」で放送されていた「私を旅館に連れてって」は、一夜に2話ずつ放送していたので、昨夜が最終話でした。12話全部が面白いわけではなく、中だるみもありますが、また見たくなるいい感じのドラマです。

1 あらすじ
 債務者である神崎開発から立ち退きを命ぜられた「花壱」。花壱は閉館になり、女将の高邑倫子も従業員も離散する。以前、花壱に宿泊しに来た神崎開発の会長に偶然出会う。そして、神崎会長から倫子は一日だけ花壱を開かないか、と誘われる。
 倫子がかつての従業員たちを探し回り、一日だけの花壱復活を誘う。そして、従業員が集まり、迎えた客は花壱を閉館に追い込んだ神崎社長とその父の神崎会長。倫子たちはかつてのように寛げるサービスを提供する。神崎社長も満足するが、神崎開発の修善寺開発計画は止めないという。倫子はそれでもいい、みんなが集まって、一日だけでも花壱を復活できたことで満足した、と神崎社長へ伝える。
 ところが、神崎社長が持ち込んだ重要な契約書類を紛失したことに気づき、旅館が大騒ぎになる。そして、結末は・・・「行ってみたいところがある。それはぬくもりとやすらぎ、そして夢のある場所」

2 女将の条件
 最初、主人公の高邑倫子は全く女将なんかやる気はなく、旅館のサービスに対していい加減でした。しかし、顧客と接っし、従業員に対してリーダーシップを発揮していきながら、少しずつ成長しました。また従業員の意識も変えていきました。そして神崎社長の気持ちを変えるくらい、素晴らしい理念を確立し、良い旅館を経営する、立派な女将になっていきました。倒産寸前の寂れた旅館をここまで素晴らしい旅館にできたのは、倫子の女将の力量に大きく依存していたと思います。
 全ての顧客に対して、この旅館に泊まってよかったと思わせる良質なサービス。そして、そのサービスを提供している従業員たち。一日だけの花壱復活に全員集まるくらい、高い従業員満足。
 女将として旅館の全体の業務運営を俯瞰して眺め、サービスの細部に気を配り、トータルの旅館経営をする能力は、資質だけでなく、努力から形成されます。高邑の求めていた夢の旅館を実現するため、日々の業務の中から学習することが、結果として倫子を素晴らしい女将にしたのではないでしょうか。

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