第1週のあらすじと経営的視点1 あらすじ
主人公の浅倉夏美は父親のケーキ店で修行し、一人前のパティシエになろうと頑張っていた。浅倉夏美は横浜のホテルで働く恋人、加賀美柾樹の祖母、加賀美カツノの喜寿を祝うため、加賀美柾樹と共に盛岡へ行く。
加賀美柾樹の実家は盛岡の有名な老舗旅館「加賀美屋」であり、加賀美カツノは旅館の大女将で、加賀美柾樹の母は女将修行の途中で亡くなっていた。旅館は次男の嫁である加賀美環が女将として取り仕切り、加賀美カツノの次男と加賀美環の長男が旅館の経営面を担当していた。長男の加賀美伸一は海外のホテル業のノウハウを活かし、加賀美屋を近代的な宿泊施設へ改革しようと考えていた。
加賀美カツノは初めて会った浅倉夏美を遠野地方に伝わる座敷童と見間違えたり、周囲の人を惹きつける様子を見て、浅倉夏美に対して特別なものを感じた。
元気だった加賀美カツノが倒れ、伝統ある加賀美屋を守るため、加賀美柾樹に旅館を継いでくれと頼む。大好きな祖母のため、亡き母の想い出のため、加賀美柾樹は加賀美屋を継ぐことを決意する。
しかし、加賀美柾樹が加賀美屋を継げば、結婚相手になる浅倉夏美は女将にならなくてはならない。浅倉夏美には父親と一緒にケーキ店をやっていく夢もあるし、女将修行は厳しく浅倉夏美に苦労をかけてしまう。加賀美柾樹は浅倉夏美に別れを告げる。
加賀美柾樹に別れを告げられた浅倉夏美は失意を感じるが、愛する加賀美柾樹のために、浅倉夏美は女将になることを決意する。
2 経営的視点「老舗の経営」
老舗旅館となれば、これまでの伝統に裏打ちされた様々なシステム、ルール、慣習、組織文化などがあります。また、旅館のサービス部門を統括し、実質的には旅館の経営にまで大きな権限を持つ、大女将、女将が姑と嫁、母娘というように家族関係にあります。したがって純粋な経済合理性だけで経営判断をできなかったり、また、人間関係の問題が経営問題に発展しかねないことにもなりかねません。
結論を言えば、老舗旅館の経営は非常に難しく、その女将になるためには、ケーキ店の経営者になるより苦労をすると予想されます。
ところで、一族が企業の支配権と経営権を持つ、いわゆるファミリー企業に関しては、コクドやパロマといった企業の不祥事などもあって、あまりイメージが良くないかもしれません。しかしながら、海外、そして日本でも実はファミリー企業の収益性は良く、しかも長寿の企業が多いという指摘がなされています。
加賀美屋もファミリー企業ですが、既に経営体制が確立している中に、外に出た加賀美柾樹と素人のお嬢さんの浅倉夏美が加賀美屋に関与するとなれば、波乱は必至です。
ファミリー企業の経営に関して、以下のような書籍があります。
『ダイナスティ~企業の繁栄と衰亡の命運を分けるものとは』D.S.ランデス、PHP研究所。
『ファミリー企業の経営学』倉科敏材、東洋経済。
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