1 あらすじ
花壱の女将の高邑倫子は指南役の勅使河原史子から、旅館のビジョンを考えるようにと言われる。倫子は旅館組合の会合で知り合った春翠桜の女将小暮妙子から、春翠桜は1泊10万円という高級旅館なのに半年先まで予約がいっぱいという話を聞き、春翠桜のような旅館を目指そうと考えた。
倫子は自分のビジョンを実現するために、従業員は洋服を、内装は洋風、料理は洋食へと、花壱を大改革し始めた。そんな時、青空観光の大久保が紹介してくれた客が花壱改め、清翠桜にやって来る。しかし、洋風化した清翠桜(花壱)に怒り、帰ってしまう。
倫子はもう一度、死んだ夫である高邑と従業員の花壱に対する想いを思い返した。そして、倫子は一人で再び元の花壱へ戻そうと決意する。
2 経営的視点「資源ベースの経営戦略」
憧れの人を真似ようとするのは人間誰しにもあります。企業も同じ業界や他業界の優良企業の経営を手本にするということも良くあります。それはそれとして、倫子はコンセプトからサービスまで春翠桜を真似しようとします。
第一の問題点は、真似しても同じ旅館は創れないということ。その旅館が歩んできた歴史とそこから生じる伝統や雰囲気。経路依存という言い方をしますが、歴史が異なれば、同じ旅館にはなりません。また、春翠桜と花壱では所有している経営資源、人材、建物、温泉、資金量、ブランド力とイメージ、全く違いますから、同じ旅館にはなりません。それを無理して同じような旅館にしようとすれば、無理な経営を強いることになります。それは花壱のちょっぴり生まれてきた魅力を殺ぐことになります。
第二の問題点は、表面的な事を真似ても、持続的競争優位を持ち得ないこと。なぜ春翠桜はあのような旅館になったのか、本質を考えなければ、花壱の競争力につながりません。
第三の問題点は、戦略は基本的に差異化を図ることです。真似ても同じ旅館はできないし、うまくいっても所詮まがい物。本家に勝るためには、プラスアルファが必要です。
そう考えると、花壱は花壱。春翠桜とは違った旅館で、夫高邑の理想としていた旅館を目指せば良いのです。春翠桜の女将の言葉、「あの娘はきっと立派な女将になる。それどころか強力なライバルになる。」は、春翠桜と違った旅館を目指すことが成功の道ということを示しています。
3 雑感
昨日からフジテレビ721で「私は旅館に連れてって」を放送中。今日はライブで見ています。
朝、見た「どんど晴れ」と同じ旅館を舞台にした物語ですが、こちらのドラマはコメディベースでなの辻褄が合わないところがあっても、突っ込む気にはなりません。また、主人公の倫子も愛すべきキャラなので、彼女の身勝手な行動も腹が立ちません。
笑いながら、楽しめます。そして見終わった後に、何か心に残る何がある。全12話の全てが良い出来とは思いませんが、しかし、何度でも見たくなる良いドラマです。
なお、このドラマを経営的視点で学習する詳細なコンテンツを以下のオリジナルHPへアップしています。
最近、更新を怠っていますが。
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