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河西邦人

Author:河西邦人
札幌学院大学教授。企業経営から地域経営までをカバーする。北海道公益認定等審議会会長、北海道地域雇用戦略会議メンバー、北海道コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス協議会会長、江別市、北広島市、夕張市、石狩市、積丹町、ニセコ町等のまちづくりアドバイザー、各種起業講座や経営講座の講師など公的活動を行っている。北海道NPOバンク理事を通じた社会活動にも従事。著書として、『コミュニティ・ビジネスの豊かな展開』(監修)、『NPOが北海道を変えた。』(分担執筆)、『ソーシャルキャピタルの醸成と地域力の向上』(共著)、『ドラマで学ぶ経営学入門』(単著)がある。

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「ホテリアー」最終話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 東京オーシャンホテルの株主総会の日がやってきた。意気揚々と望む森本大日東開発会長一行に対し、北野みつ子社長が病気で倒れ、発行済み株数の3%の株式を持つ水口夫人の委任状を取れなかった東京オーシャンホテル側は重苦しい雰囲気であった。北野社長に代わって緒方総支配人が株主総会の議事を進める。
 株主総会が始まると同時に、森本大日東開発会長が自ら作った取締役の選任案に関する動議を出す。自分の息がかかった人間を東京オーシャンホテルの取締役会へ送り込み、経営権を支配する考えだ。緒方はその動議に対して、賛否を問うことにした。その時、入院先から北野社長も駆け付け、心配そうに動議の採決を見守る。
 結果は森本大日東開発会長の動議が否決された。5割を超す支持を受けているとキクチから聞いていた森本は我を忘れ、キクチを責める。キクチは「僕のボスは一人だけだ」と言って水沢に笑いかける。キクチは森本を騙し、水沢と共に東京オーシャンホテルを守ったのである。

 株主総会が終わり、水沢は小田桐杏子と話をする。水沢は杏子が本当の両親を知らず、水沢の実母は養母だったことを伝えた。水沢は勘違いに気づき、二人が兄妹でないことを喜んだ。そして、水沢はプロポーズをして、杏子にアメリカ行きを誘った。杏子はそれに肯いたが、東京オーシャンホテルのスタッフたちは複雑な気持ちだった。
 森本大日東開発会長は北野社長へお見舞いに行き、東京オーシャンホテルの買収をあきらめないこと、北野社長が結婚相手に森本を選ばなかった事への恨みを伝えた。森本は私怨で東京オーシャンホテルを買収しようとしていたのである。その後、大日東開発の裏帳簿の件が発覚し、森本は逮捕されてしまう。
 北野社長はまだ治っていないが、病院を抜けだし、仕事に戻る。自分の命は長くないことを自覚し、ホテルで死にたいと言う。尊敬する北野社長の言葉を聞いた杏子は、水沢にホテルを離れられない、と伝える。水沢は自分が杏子のために日本へ戻ってくると言い、再会を誓った。

2 経営的視点「M&Aの防衛手段の整備」
 森本大日東開発会長の買収から辛くも逃れた東京オーシャンホテルですが、それでハッピーエンドではありません。優良な資産を持ちながらも業績は低迷し、また買収の危機に晒されるかもしれません。そこで、M&Aから会社を守るための防衛手段を整備しておいた方がよいでしょう。
 敵対的買収を仕掛けられ、一定の株式を取得されてしまったら、既存株主へ安い価格で新株を引き受けてもらう「ポイズンピル」を導入が考えられます。また、東京オーシャンホテルの取締役が買収相手企業によって意に添わない形で解任された場合、通常よりも大幅に高い割増退職金を支払う条項を設定しておく「ゴールデン・パラシュート」を用意しても良いでしょう。買収に応じるなど、特定の会社の行為に対して、株主総会の議決数で2/3以上にするなど、ハードルを高くする「スーパー・マジョリティ」という防衛策もあります。
 しかしながら、もっとも健全な防衛策は、業績をあげて、株主価値を高め、その価値を株主へ還元することです。資本主義の世界ですから、株式の売買は自由であり、会社の売買も自由です。意に添わぬM&Aに合わないためには、相応の経営努力をし続けなければなりません。

3 ドラマの雑感
 「ホテリアー」が予定通り、9回で終了しました。オリジナルの韓国版「ホテリアー」と比較して、回数が少ないので、どうなるかと思っていました。多少、エピソードが多すぎる感じもしますが、うまくまとまっていたと思います。NHKの「ハゲタカ」と違ってM&Aに翻弄される男女という恋愛ドラマの要素もあるので、ホテルのサービスやM&Aという経営的要素はこの程度で良いでしょう。
 ドラマの主人公の上戸彩さんは魅力的ですが、役柄のフロント・アシスタント・マネジャーにしては若過ぎます。21歳の彼女より、20代後半の女性の方が良かったように思えます。緒方総支配人役の田辺誠一さんは風格はないものの、若々しい総支配人として良かったのではないでしょうか。なお、2008年に開催される洞爺湖サミットの舞台、ウインザーホテル洞爺の総支配人は39歳の女性です。
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「ホテリアー」第8話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 緒方総支配人から、東京オーシャンホテルの買収エージェントである水沢圭吾が実の兄と聞かされ、小田桐杏子はショックを受ける。水沢は口止めしたのに杏子へ真実を伝えた緒方を責める。
 東京オーシャンホテルで働くことになった、森本大日東開発会長の娘のあかねが、父の買収目的が転売であることを伝え、それを防ぐために、大日東開発の裏帳簿のデータを、緒方総支配人へ提供した。東京オーシャンホテルを支援しようとした村上社長が襲われてします。それを知った水沢は、森本と袂を分かつことを表明するが、水沢のパートナーである弁護士のキクチは森本のエージェントをそのまま続けることになった。
 水沢は今度は東京オーシャンホテルの側に立ち、大日東開発からの買収を防衛するため、株主から委任状を集めることに奔走した。買い取りを希望する株主に対しては、水沢は私財を使って購入した。そして、委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)も終盤になり、動向が分からなかった3%の株主持分を持つ株主が、かつてセクハラ行為を捏造することで、緒方を辞任に追い込んだ水口夫人と判明した。ホテルに宿泊し、緒方を誘惑する水口夫人に対して、緒方は今回は拒絶した。水口夫人の3%の持分の委任状は敵方のキクチに渡った。
 ぎりぎりまで追いつめられた東京オーシャンホテルの北野みつ子社長は、病気のため、急遽入院することになった。

2 経営的視点「敵対的M&Aへの対抗策」
 企業を敵対的に買収しようとする場合、買収者と被買収者間で激しい戦いになります。大日東開発は東京オーシャンホテルに買収されることを認めさせる議決案を、東京オーシャンホテルは大日東開発の買収を拒否する議案を、株主たちへ提案し、賛否を問います。株式会社の場合、株1個につき1票の議決権があります。議決権を持つ多くの株主を自分たちの提案に賛成してもらおうと、両者は委任状(代理人に議決権の行使を委任する)集めに走ります。
 なるべく多くの株主の賛同を得るためには、増配や株の分割など株主のメリットある提案を議案に盛り込む必要があります。この時点におけるそれ以外の対抗策として、自社の資産を担保にして資金を借り入れて大日東開発へ逆に買収を仕掛ける、テニスコートや駐車場以外に、ホテルの土地と建物そのものを売却してしまう、より望ましい買収相手(ホワイト・ナイト)を探し、東京オーシャンホテルを買収してもらう、などが考えられます。また、大日東開発の裏帳簿のように、買収相手の弱みを握り、買収意欲を失わせる方法もあります。

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「ホテリアー」第7話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 小田桐杏子と異父兄妹と知った水沢圭吾は落ち込む。岩間副総支配人はますます調子にのり、第一次整理解雇者案を張り出す。その行為を北野みつ子社長にとがめられるが、岩間はホテルのためと言い張る。
 水沢から東京オーシャンホテルのテニスコートと駐車場が売却される事を聞いた森本大日東開発会長は、「絶対阻止しろ、評価額が下がる」と怒る。その言葉を聞いて、水沢は森本が東京オーシャンホテルを買収した後、更地にして転売することを悟った。話が違うと怒る水沢は怒るが、「あんたにとやかく言われる筋合いがない」と森本も怒る。
 東京オーシャンホテルへ戻った水沢はホテルで起こった事件の解決に貢献する。緒方総支配人は水沢に感謝しつつも、これ以上、小田桐を苦しめないで欲しい、と頼む。緒方に対して水沢は杏子が妹であると告白し、杏子には内緒にして欲しいと言う。しかし、緒方はあっさり、杏子へそのことを打ち明けてしまう。

2 経営的視点「M&Aの手法」
 企業のM&Aの方法はいくつかあります。まず、相手の株式と自社の株式を交換して合併する方法。金銭か株式で株式で買収する方法。自社の株式と相手の株式を交換することで、相手を子会社化するか、自社が子会社になる方法。金銭により相手の営業権を含む資産を譲ってもらう方法があります。
 森本大日東開発会長は、東京オーシャンホテルの事業ではなく、資産に魅力を感じ、転売することが目的だったため、東京オーシャンホテルの株を買収して、経営権を奪い、ホテルの資産を売却させる方法を選択したのです。東京オーシャンホテルの株式の過半数を買収しなくても、他の株主の賛同を得れば、より少ない投資で東京オーシャンホテルを手に入れることが可能になります。
 こうした投資目的の買収を防ぐためには、資産を売却したり、負債を抱えて、企業としての価値を下げる防衛策が採られるかもしれません。それ以外の買収防衛策として、米国スティールパートナーズというファンドの買収を防衛しようとしているブルドックソースのように、新株を発行して第三者割当で友好的な投資家へ売却し、買収しようとする相手の出資比率を下げてしまう方法もあります。

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「ホテリアー」第6話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 水沢圭吾は東京オーシャンホテルの経営再建のコンサルタントとして着任し、北野みつ子社長らにリストラ案を突きつける。小田桐杏子は水沢に裏切られた気持ちでいっぱいになる。
 水沢は次に岩間副総支配人へ買収後の総支配人の地位を餌にして、水沢の味方に取り込む。水沢の後ろ盾を得た岩間は総支配人のごとく、従業員の勤務態度をチェックし、従業員からひんしゅくを買う。
 リストラの不安が渦巻く東京オーシャンホテルへ壮年の村上夫妻が宿泊しに来る。村上夫妻は東京オーシャンホテルのオープンの日に宿泊した部屋を希望した。そして、村上夫妻は30年間に食べたディナーを注文し、杏子と料理長はその注文に応えようとする。それを知った岩間は2人の客のために料理を作るなんて、と嫌みを言うが、料理長は自分のポケットマネーで食材を買う、と一喝する。
 村上夫妻は30年前に食べたメニューを味わいながら、結婚式を挙げる前に会社が不渡りを出して、結婚式を挙げてないと杏子へ話す。その話を聞いた杏子は緒方総支配人や仲間と共に村上夫妻へ結婚式をプレゼントする。突然の結婚式に驚く村上夫妻だが、非常に喜ぶ。そのシーンを見た水沢は杏子がなぜ東京オーシャンホテルを大事に思うか、少し理解した。
 翌朝、村上夫妻が緒方を呼びつけ、ある提案をする。村上が社長を務める不動産会社が東京オーシャンホテルのテニスコートと駐車場を買い取り、再度、東京オーシャンホテルへ貸すというスキームを提示した。このスキームで東京オーシャンホテルは会社の資産価値を減らして買収の魅力をそぐ一方、売却して得た資金を負債返済に充てる。東京オーシャンホテルの一筋の光明が見えた。
 一方、水沢は自分を捨てた両親を捜したに関する報告書を読み、驚く。なんと杏子と水沢は異父兄妹だったのである。

2 経営的視点「ホテルのリストラ」
 ホテル経営において建物や施設の減価償却、労働集約的サービスのための人件費など、宿泊客がいようが、いまいがかかってしまう固定費の割合が高いことが多いです。東京オーシャンホテルの場合も例外でなく、まずは人件費の削減を考えます。
 しかしながら、東京オーシャンホテルのようなシティホテルにおいて従業員はサービスの価値を産み出す重要な経営資源ゆえに、人員削減は慎重に行う必要があるでしょう。岩間のようにこれ見よがしにリストラをちらつかせるのは、従業員のやる気を著しく低下させるのでやってはいけません。あらかじめリストラ候補を決め、一気に行う必要があります。人員を減らすとサービスの低下につながるので、人件費が安い派遣社員に切り替えることなどで対応します。例えば、東京オーシャンホテルが人材派遣の子会社を設立し、正社員を子会社へ給与を引き下げて転籍させます。その人材派遣子会社が東京オーシャンホテルの元社員を古巣へ派遣します。
 建物や施設も同様です。これらの固定資産を売却し、売却収入で借金を返済し、貸借対照表を改善します。ホテルは建物や施設を売却した先から建物や施設を賃貸してもらいます。小田桐の機転が利いたサービスの結果、図らずもこのスキームを使うことになりました。

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「ホテリアー」第5話のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 水沢に好意を持った小田桐杏子に対して、岩間副総支配人らが水沢のスパイという疑いを持つ。杏子は水沢にホテル買収を考え直して欲しいと頼むが、水沢から買収を止めたら一緒にアメリカへ来てくれるか、と逆に尋ねられ、即答できなかった。
 森本大日東開発会長は娘のあかねが家を出て、東京オーシャンホテルで働いている事を知り、連れ戻す。
 杏子は考え抜いた末、買収を止めてくれたら水沢と一緒にアメリカへ行くと告げる。水沢はホテルで働き続けたいという杏子の本心を見抜き、「アメリカへ行く必要はない、僕を信じて欲しい」と言う。杏子は水沢の言葉に安心する。
 しかしながら、翌日、主要スタッフが緊急招集され、その場に水沢とキクチが乗り込んできて、リストラを行うと発表する。杏子は水沢に裏切られたと感じた。

2 経営的視点「顧客満足と従業員満足」
 東京オーシャンホテルの業績は低迷していますが、杏子を始めとして東京オーシャンホテルで働くことに喜びを感じている多くの従業員がいます。それだからこそ、大日東開発の買収に対して拒否感を示すのでしょう。
 こうした従業員が多くいるホテルの顧客満足は高まります。なぜなら従業員が顧客満足を生むサービスを提供するからです。前回も言及したザ・リッツカールトン・ホテルでは、顧客へサービスを提供する紳士と淑女(従業員)がもっとも大切な資源と明確にしている。従業員個人の才能を育成し、個人の志を実現する職場環境を作るとしています。
 また従業員へ顧客サービスに関する一定の権限を委譲し、従業員が柔軟なサービスを顧客へ提供できます。それが素晴らしいサービスであれば、顧客は喜び、従業員に感謝します。それが従業員のやる気につながります。やる気がより良いサービスにつながり、ますます顧客満足を高める、好循環を生みます。
 東京オーシャンホテルが従業員に愛されている理由は、ドラマからあまり良く感じられませんが、人間関係の良さはその一因になっているようです。

参考文献 高野登『サービスを超える瞬間』かんき出版、2005年。

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