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河西邦人

Author:河西邦人
札幌学院大学教授。企業経営から地域経営までをカバーする。北海道公益認定等審議会会長、北海道地域雇用戦略会議メンバー、北海道コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス協議会会長、江別市、北広島市、夕張市、石狩市、積丹町、ニセコ町等のまちづくりアドバイザー、各種起業講座や経営講座の講師など公的活動を行っている。北海道NPOバンク理事を通じた社会活動にも従事。著書として、『コミュニティ・ビジネスの豊かな展開』(監修)、『NPOが北海道を変えた。』(分担執筆)、『ソーシャルキャピタルの醸成と地域力の向上』(共著)、『ドラマで学ぶ経営学入門』(単著)がある。

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お金の盗難に夏美はどう対応したら良かったか?

1 ケース「盗難事件」
 加賀美伸一から旅館組合のために集金した大森旅館の5万円を帳簿につけるよう、浅倉夏美は命じられました。本来なら時江のようなベテラン仲居がやる仕事なのですが、その時、時江が女将に呼ばれてその場にいなかったので、伸一は近くにいた夏美に依頼したようです。
 夏美は帳場内で一人で、帳簿付けの仕事をしていましたが、宅配業者が玄関にやってきました。「すみません、誰かいませんか?」
 玄関に近い帳場にいた夏美はその声に対応しようとして、大森旅館のお金を、鍵を開けたままの金庫に入れて帳場を出ました。帳場を出たところで、宅配業者に反応した加賀美浩司の恋人の綾華と出会いました。気の良い夏美は「私、でますから」と荷物を受け取りました。帳場に戻ってくると、大森旅館の5万円入りの封筒がなくなっていた。
 伸一と時江に報告し、叱られるが、時江に「他に誰かいなかったの?見かけたとか?」言われた。そこで、夏美は綾華に「誰か見かけませんでしたか?」と尋ね、事情を説明しました。ところが綾華が演技して、夏美がお金の盗難を綾華のせいにした、というように浩司を信じさせ、それがもとで夏美は仲居や板場の職人から総スカンを食うことになりました。
 あなたが夏美だったら、どのような行動をとりましたか?

2 夏美が取るべき行動
 正解は一つではありません。人を信じる性善説を持つ夏美にとっては難しいかもしれませんが、もし、私が夏美だったら以下のような判断で、行動します。
 いくら誰もいない帳場であっても、多数の人がいる旅館で不用心に出かけるのはまずいです。大切な仕事をしていたのであれば、宅配業者への対応は他の仲居に任せる判断もあったかもしれません。後から他の仲居から、嫌みの一つを言われても気にならなければですが。
 もし、夏美自身が対応をするのであれば、金庫には鍵もあったので、金庫にお金を入れ、鍵をかけて帳場からでなくてはなりません。お金だけではなく、コンピューターからの情報流出を防ぐため、コンピューターの作業を中断するなら、ログオフをします。
 途中で夏美は綾華に会いました。ここで、「今、伸一支配人に大切な仕事を依頼されるので、綾華さんが荷物を受け取ってください」と綾華へ対応を依頼し、自分は帳場に戻ることもできたでしょう。

 預かったお金がなくなれば、仕事を依頼した人と上司へ謝罪と報告をしなくてはなりません。旅館内で盗まれたというナイーブな問題なので、上司らの質問に答えるのではなく、自分が認識している事実を述べ、状況を説明し、判断を仰ぐ必要があります。例えば、宅配業者がきたので、金庫の鍵をかけずに、帳場を出た。そこで綾華と出会うが、自分が宅配業者へ対応し、30秒程度、帳場を無人にしてしまいました。
 それを聞いた上司の伸一や時江が状況を判断し、解決策を考えます。伸一役の東幹久氏は別の番組において旅館で起こった事件を解決しようとする探偵の真似事をしているから、うまく解決してくれるかもしれません、冗談ですが。夏美のように解決のため、自己判断で綾華に尋ねるのはまずいでしょう。理由は夏美にそのような権限を与えられていないこと、伸一や時江の方が旅館での経験が長く解決へ導きやすいこと、加賀美屋の伝統では上司が責任を取ること、です。問題になったときこそ、上司に頼りましょう。

テーマ : 社員研修 - ジャンル : ビジネス

「どんど晴れ」第11週のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 大女将加賀美カツノは茶会で引退を表明し、加賀美環は9代目女将を継承し、名実共に加賀美屋の最高執行責任者となった。女将が代々引き継いでいる空の玉手箱を、カツノから環へ手渡された。
 環が9代目女将になったことで、環は時代の変化に合わせて旅館を建て直すかもしれない、と新しい経営ビジョンを示した。また仲居頭の時江と浅倉夏美の復帰を正式に告げた。夏美は加賀美柾樹と婚約を解消したため、一仲居としての修行になる。無責任に職場放棄した夏美の復帰に対して、異論が出されたものの、環は大女将が決定したことだからと、従業員を納得させた。環は機会があれば、大女将に認められている夏美を追い出したい本心に変わりない。長男の加賀美伸二の嫁、恵美子は女将修行をしたがらないので、環の頭は痛い。
 夏美は時江の下で再び、布団を敷くような基本中の基本から仲居修行を再開した。一方、私生活では同じ下宿仲間の岸本聡から好意を持たれ、聡が作った南部鉄器のフクロウをもらう。それを知った親友の松本佳奈は夏美に嫉妬し、冷たくなる。
 恋人もいないと思っていた次男加賀美浩司が、一流料亭の娘である彩華を恋人として紹介した。たまたま仲居の一人が家庭の都合で、仕事を休むことになり、人手が足りなくなってしまった。彩華は自分が手伝うと申し出て、彩華に対する環の好感度は上昇した。
 そんなある日の夕食時、調理場が大忙しの状況で、夏美は熱燗を持って客間へ行こうとする佳奈へ話しかける。夏美から逃げようとした佳奈は誤ってテーブルにぶつかり、軽い火傷を負う。責任を感じた夏美は佳奈を調理場の中の洗い場へ引っ張っていき、火傷を冷やす。女を厨房に入れないというしきたりと、白衣を着ていない仲居を厨房に入れられない衛生面の問題から、許しを得ずに勝手に調理場へ入ってきた夏美へ、板長が怒る。以前にも夏美が勝手に調理場へ入ってきたので、注意したことがあったことも伏線になっていたのかもしれない。それに対して夏美は、非常時だからと謝罪もせずに逆ギレしたため、板長はますます怒る。
 調理場には一気に不穏の空気が流れた時に、彩華が夏美の行動は伝統を破る行動で、そんな行動は老舗旅館で通用しない、と夏美を叱る。そして、仕事に戻ろうと促し、板長も怒りを収め、仕事に戻った。彩華の毅然とした態度は、反夏美の仲居たちと女将の信頼を得た。
 翌日、夏美は伸一から旅館組合の集金を帳簿に記録するよう頼まれる。仕事中に宅配業者が来たので、不用心にもお金を置きっぱなしにして、途中に会った彩華に代わりを頼みもせず、業者に対応する。そして、戻ってみるとお金がない。伸二にそのことを報告し、怒られる。夏美は途中で会った彩華に、誰かを見なかったか、と訊ねる。その後、夏美と別れた彩華は泣いてしまう。それを見て、彩華からその理由を聞いた恋人の浩司は夏美に怒りをぶつける。

2 経営的視点「リーダーの交代」
 カツノの後継者は柾樹の母親であったが、亡くなったため、カツノが大女将として再度、最高執行責任者も兼務し、次男の嫁である環を後継者として育ててきました。そして茶会でカツノは引退し、最高執行責任者の座を環へ譲りました。
 自らリーダーの座を後継者へ渡すというのは、高い評価を得ているリーダーほど、抵抗感があるようです。後継者はまだ実力不足、自分でないと組織はまとめられない、精神的にも肉体的にもまだまだやれる、などいろいろな理由をつけて、リーダーの座にとどまる経営者が多いです。しかし、優秀なリーダーは持続的経営のために、後継者を育成し、後継者が経営しやすい環境を整え、経営権を引き渡します。そして、リーダーの座を去った後、言いたいことがあっても後継者を信じ、任せて、口を出さない事。そして、リーダーの座を降りたとはいえ、組織への影響力が強いので、組織を乱さないため、言動には十分注意する事です。同族経営の場合、同族間の血縁を基盤にした人間関係の感情がそこに加わるため、いっそう気をつける必要があります。
 今回、引退を決めたカツノですが、環が十分、女将としての実力を持っているので、もっと早く引退し、環に経営権を承継した方が良かったと思います。もし、経済評論家の斎藤愛子から訴訟を起こされるという事件がなければ、ずっと大女将として実権を握り続けたような気がします。
 また、環の後継者に関して、カツノが決めるのではなく、環に決めさせた方が良いでしょう。後継者を育てるというのはリーダーにとって重要な責任ですが、それを先代から言いつけられたのと、自分で決めたのではどちらが後継者育成にやる気を出すでしょうか。また、カツノが夏美を女将候補として修行をさせる決断をしたことで、環の長男の嫁恵美子と対立を生じさせる要素を生み出すことになり、同族間、そして旅館内に余計な不協和音をもたらす懸念があります。環の意思で夏美を女将修行させるのなら良いのですが、引退をする直前の時期にこのような人事をしたカツノの意思決定には問題がありそうです。
 日本にはある歳になったら、すっぱりと身を引き、家業に口を挟まず、遊んで生活する、「楽隠居」という言葉があります。この言葉はリーダーの座に固執し、形式的な引退後も権力を行使するを元リーダーを諫めるための言葉なのかもしれません。カツノは環の経営に関して不満があっても、楽隠居し続けることが、長期視点で見て加賀美屋にとって良いことと思います。

テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

鈍感力は旅館の女将に必要か?

1 浅倉夏美の鈍感力
 作家の渡辺淳一氏が執筆した『鈍感力』という本が売れています。 鈍感、すなわち、周囲に対しての気遣いの感性が鈍いというのは従来、マイナスで捉えられていましたが、渡辺氏は鈍感を評価しています。周囲のことが気にならないほど打ち込むこと、それが困難なことをやり遂げる時に必要なこととしています。
 さて、「どんど晴れ」で浅倉夏美の主人公は、周囲の人の心情に無頓着な女性で、今流行の鈍感力が高い女性なのでしょうか?

・職場放棄したのにもかかわらず、加賀美屋へ戻って来て、大女将の加賀美カツノと女将の加賀美環に対して最初の第一声は「もう一度修行をさせてください」。普通の人は職場放棄という行為を謝罪するのではないでしょうか。

・女将が「あなたが加賀美屋へ戻り、修行を続けることに対して賛成しかねる」と夏美へ伝えた時、夏美は呆然とした表情で、女将の言葉が信じられないという表情をしていました。女将夏美に対して発した言葉の背景にある心情を理解できないからでしょう。

・婚約を白紙に戻すと言った婚約者の実家で修行を続け、初日にして電話をする行動は、加賀美柾樹が夏美の婚約白紙の本意を理解しているにせよ、失恋した柾樹の気持ちをえぐるような行動ではないでしょうか。

・茶会で使用される茶釜を平治の工房へ取りに行きました。加賀美伸一の発言で怒っている平治に対して、「修行を続けたいから茶釜を欲しい」と言いました。怒った平治は「帰れ」と言いますが、夏美は「創ってくれるまで帰りません」と逆ギレして、居座り続けました。

4例をあげましたが、夏美の行動は周囲の人の心情を考えないで、自分の目標を追求する、鈍感力の強い人と言えます。

2 鈍感力は免罪符ではない
 周囲の人の心情を考えず、自分のやりたいことをやり、成し遂げる行動は、渡辺氏が書いているように、成果をあげるかもしれません。その成果が周囲の人にとって良い影響を与えるならいいのかもしれません。
 しかしながら、鈍感力の高い人の行動は周囲の人にストレスを与えます。例えば、夏美が宿泊客の子供を祭りに連れ出し、アレルギーの発作を起こさせてしまった事件は、上司の時枝の命令を無視した結果、生じたことです。それによって、時枝は解雇という処分を受けています。夏美の行動で人生を狂わせられた時枝は、時枝の命令を無視し、ミスを犯し、大きな問題を起こしたことに対して謝罪をしない夏美の鈍感力に対して、仕方がない、「天性の才」と言って許せるでしょうか。時枝にとって「天性の災」です。
 周囲の人の心情を考えない行動、それが顧客の心情を考えない鈍感な行動だとしたら、大きな災いを加賀美屋へ与えます。評論家斎藤愛子から起こされた訴訟に対する夏美の行動も、いっそう事を大きくし、加賀美屋の経営に打撃を与えることになったかもしれません。そうしたリスクを理解すれば、夏美の鈍感力はおもてなしの精神と反すると思います。
 課題を突破する、大事を達成するために鈍感力が必要という渡辺氏の考えは、理解できるところはあります。難事をなす時には鈍感力で周囲の反発を気にせず、正しいと思う事を実行し、達成しなくてはならない事もあります。旅館の大女将として、加賀美屋の伝統を守るため、夏美に女将修行させています。こうしたやり方をすれば、旅館の後継者としての自覚を持っている女将の環や次男一家がどういう気持ちになるか、と言うことにはあえて鈍感になり、経営判断をしています。
 しかし、旅館経営の視点から鈍感力は、100%支持できません。顧客の心情を十分理解し、予測し、その顧客にあった最良のサービスをすることが、旅館の女将の務めです。鈍感力は免罪符ではありません。鈍感力がもたらす周囲へのマイナス、組織経営のリスクを理解した上で、旅館の女将は鈍感力を時と場合によって使い分ける必要があります。鈍感力が高い人は、そんなことを考えないかもしれませんが…

テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

「どんど晴れ」第10週のあらすじと経営的視点

1 あらすじ
 大女将である加賀美カツノの真意を知った浅倉夏美は、加賀美柾樹との婚約をいったん白紙に戻し、自分の意志で女将修行をするため、盛岡の加賀美屋へ戻った。非常識な職場放棄をし、その行動に関する謝罪もできない夏美をそのまま受け入れるわけにはいかないため、大女将は一計を案じた。
 女将の加賀美環の長男である加賀美伸一が南部鉄瓶の職人平治を怒らせ、茶会で使う茶釜の新作をもらえなくなった。その問題を解決したら、夏美の願いを聞く理由も出てくるだろうという論理である。当然、自分の長男が犯したミスなので、女将も反対しないという読みがカツノにあった。
 夏美はすぐさま、平治の元へ向かい、これまでの親しい関係にあったので茶釜をくれ、と甘い考えで頼むが、平治をますます怒らせる。平治にしてみれば伸一にプライドを傷つけられた問題の解決なしに、茶釜をくれと頼まれても、断るしかない。夏美は持ち前の強引さと押しの強さで、平治の家に居座る。平治の体に配慮したブルーベリーを食べさせるなど、夏美は懐柔をし、素直に茶釜の評価を平治に伝えた好感もあり、根負けした平治は茶釜を夏美に渡す。
 大女将は茶釜を無事に手に入れた夏美の実績を評価し、女将の意向を無視して、夏美の仲居修行再開を認めた。

2 経営的視点「同族経営の問題」
 加賀美屋はこれまで同族経営で、娘か息子の嫁が女将を継承しています。従業員も家族、親戚だから、自分たちと異なるキャリアパス、例えば女将になることを前提とした修行など、を歩んでも不満に感じないし、自分より能力の低い女将でも素直に指示を従います。今回、柾樹との婚約を白紙にした夏美は加賀美家と関係ない人です。その夏美に女将になることを前提とした修行をさせることは、加賀美屋の経営承継のルール自体を変えないといけません。ルールを変えずにそれをやることは、老舗旅館のアイデンティティの崩壊につながる懸念があります。
 また、女将の環は仲居頭へ降格したとはいえ、従業員、顧客、同業者に対しても正統な後継者として認められた女性です。その女将の意向を全く無視して大女将が経営上、非常に重要な女将後継者として夏美を選ぶことは、リーダーとして正しい行動でしょうか。
 今回の一件に関わらず、大女将と女将の間の関係はうまくいっていません。長男のホテル構想を認めたり、仕事を終えたら一人の女性に戻る女将の理念、資質、能力に関して、大女将は疑問があるのでしょうか。女将にはなく、夏美が持っている資質を女将がもっとも学べきと考え、あえて夏美を戻したのでしょうか。自分が選んだ後継者の仕事がやりにくくするような状況を作り上げていく大女将には何か考えがあるのでしょうか。
 同族経営の一つの大きな問題は、家族間の感情の軋轢が経営問題に発展しかねないところです。今回の大女将が取った行動はそうした感情上の軋轢を大きくするようで疑問があります。

テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス

サービス業の人材教育と育成

1 浅倉夏美の勘違い

 私は中小企業の経営者、人事担当者に話を聞く機会が時々ありますが、「今時の若者は…」と若者の行動や考えに対する愚痴を聞かされたり、若者の教育研修問題に対する解決策を求められたりします。時代が変われば、人の価値観も変わるし、その時代に求められる行動も変わります。しかしながら、旅館業におけるサービスに対する普遍的基準に「顧客を不快にさせない」ということがあります。顧客を不快にしないことが、サービスに求められる最低水準で、その上に顧客をくつろがせる、和ませる、楽しませるといった付加価値が加わっていき、おもてなしができあがると考えます。
 主人公の浅倉夏美の行動を見ていると、残念ながら付加価値にあたるサービスに目を奪われており、顧客を不快にさせないというサービス業の基本であり、最低限のレベルのサービスを軽視しているように思えます。例えば、夏美は以前、大女将が顧客の左右の履き物を置く位置を変えている意味に気がつきました。そうした細かい気配りの意味を考え、理解できる、サービス業に携わる人にとって重要な能力を持っているエピソードと言えます。その反面、経済評論家の斎藤愛子の息子である翼を愛子に無断でさんさ祭りへ連れ出したことは、息子と一緒に祭りを楽しみたいという愛子の気持ちを無視した、不快なサービスだったのではないでしょうか。その上、大事な息子のアレルギーの発作を起こさせてしまえば、不快が怒りに変わって当然です。
 いわば夏美はサービスの本質を十分理解していないと言えます。

2 加賀美屋における人材教育のシステムの必要性

 サービス業に従事する人間として、最低限すべきこと、顧客を不快にさせないことをすらできない夏美をどうしたら良いでしょうか。夏美の行動を非難するだけでは解決しません。サービスの理念を教え、そしてこれまで加賀美屋が培ってきたサービスの最低限のレベルをまず教え、行動できるように訓練することです。OJTであると顧客に迷惑をかけるので研修の場を別に用意した方が良いでしょう。その基本ができてから、次の段階で付加価値のあるおもてなしを教育すべきです。
 サービスの基礎ができていないのに、いきなり応用レベルのサービスに突っ走っているのが夏美の現状です。なぜそうなったのか、夏美が女将になる気が満々で、先走りすぎているという夏美自身の問題と、加賀美屋の教育、研修、訓練がOJT(現場でのトレーニング)中心で、基礎から体系立てて人材を教育するシステムが不十分という問題があるようです。また女将の加賀美環が仲居として最低限できなくてはならないサービスの教育を、仲居見習いの佳奈に任せている問題もあります。は中小企業には悠長に人材を育てている暇も時間もない、という呟きが聞こえてきそうですが、夏美の勝手な行動が老舗旅館の経営を揺るがす大問題になったのを見れば、教育の大切さは十分おわかりいただけると思います。
 人件費抑制のために、アルバイトを多く雇用して、事業をしているサービス業が多くなっている現状、サービスの基本から、体系的に教えていく必要性がいっそう高まっています。あなたの会社は夏美のような人材を出さないような、教育システムがありますか?

テーマ : 社員研修 - ジャンル : ビジネス

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